2018 Fiscal Year Research-status Report
Exploring the effect of ancient rivers in the Seto Inland Sea on the wood mouse genome on islands
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18K06395
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
佐藤 淳 福山大学, 生命工学部, 准教授 (80399162)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アカネズミ / 瀬戸内海島嶼 / 古代河川 / 遺伝的分化 / ミトコンドリアDNA / 核ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、瀬戸内海の島々とその周辺に生息するアカネズミのゲノムに残されたDNA多型から古代河川が集団間の遺伝的分化に与えた影響を探ると共に、島とその周辺のアカネズミの遺伝的類縁関係を明らかにし、最終的には、氷河期の終了後、“干上がった瀬戸内海”にどのように海水が入り込んだのかを推定し、地質情報では得られない新しい知見で瀬戸内海の成立史の解明に迫る。 まずは、フィールド調査を行い、広島県江田島、倉橋島、呉市から計12個体のアカネズミのサンプルを収集することに成功した。これまでにアカネズミサンプルの収集実績のある島は、古代河川によって分断されてるグループ1(向島、因島、生口島、大三島、伯方島、大島)とグループ2(大崎上島、大崎下島、上蒲刈島、下蒲刈島)のみであったが、さらに異なる古代河川で分断されているグループ3(江田島、倉橋島)のサンプルを獲得した。 次世代シークエンサーを利用した分析を計画していたが、以下の進捗状況での説明のように、外注による分析から、福山大学に導入された次世代シークエンサー利用による分析へと変更したため、現在、実験手技やバイオインフォマティクスの確立の段階にある。予定していたミトコンドリアDNAの分析としては、3個体についてDloop領域の分析を行い、江田島(1個体)、倉橋島(1個体)のアカネズミは他の島では見られない新規のタイプを持ち、呉市のアカネズミ1個体は福山周辺で見られたタイプと一致することが明らかとなった。 本学で昨年度末に次世代シークエンサー周辺機器の利用手順の整備が完了したため、今期前半には現在のサンプルを用いて分析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究費の申請時には、福山大学に次世代シークエンサーがなかったため、全て外注を利用して分析するための予算を計上していた。その後、H29年2月に福山大学にイルミナ社次世代シークエンサーMiSeqが導入され、その後、2018年11月に全ての必要機器・試薬がそろった。このことで、高額な外注に依存する必要がなくなり、より少ない予算で多くのサンプルを分析することができるようになった。しかしながらその一方で、実験手技やバイオインフォマティクスの確立に時間を要し、若干の遅れを見せている。
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Strategy for Future Research Activity |
江田島、倉橋島からさらにサンプルを収集し、集団遺伝解析に足るサンプル数を獲得することが課題である。2019年5月にフィールド調査を予定している。
次世代シークエンサーの利用については、本学で昨年度末に機器利用の目途が立ったため(実験手技が確立された)、今期前半には現在のサンプルを用いて分析を進める予定である。もともとの計画では、ミトコンドリアゲノムと核ゲノムを別々に分析する計画にあったが、昨今の分析技術を参考にすると、両ゲノムの同時分析が可能であるため、遅れを取り戻す手法として本手法を採用したい。
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Causes of Carryover |
引き続き、次世代シークエンサーを用いたDNA分析のための物品費として使用する。
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