2020 Fiscal Year Research-status Report
Ecological study on mating systems of reef fishes demostrating spawning migration
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18K06419
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坂井 陽一 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (70309946)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 産卵移動 / 魚類 / 繁殖システム / 社会関係 / 採餌生態 / 行動観察 / 標本分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はハコフグ科クロハコフグとニザダイ科ニザダイの2魚種に重点を置いて研究を推進させた。 クロハコフグについては、野外データの不足点を補うべく鹿児島県口永良部島のリーフにおける野外調査を実施するとともに、採餌生態と産卵生態に関する論文の執筆を進めた。このうち採餌生態に関する論文を国際学術誌に発表した。有毒な光化学共生ホヤ類を浅場で独占的に食することができる利点の存在が、産卵に適した沖合への産卵移動習性を有する背景となっているものと考えられる。また、産卵生態に関する論文については、距離スケールの大きな同種の産卵移動の実態を報告し、その繁殖システムの成立機構について考察を加えた論文として、現在、国際誌に投稿する前段階まで仕上げている(投稿準備中)。 ニザダイについては、鹿児島県口永良部島周辺水域の標本個体の消化管内容物分析および安定同位体比分析を進め、繁殖への貢献が予想される大型個体ほど動物プランクトンの貢献度の高い食性実態を有することが明らかとなった。データをとりまとめた論文作成を進めている(投稿準備中)。 すでに沖縄での野外調査作業を終えているチョウチョウウオ科フウライチョウチョウウオについては、野外調査データの分析作業を進め、投稿論文を執筆作業を進めた(投稿準備中)。 ニザダイとクロハコフグについての野外調査活動に関しては、コロナ禍の中で細心の注意を払いながら実施した。しかしながら、発表を予定していた国内学会および研究集会の開催が見送られ、学会での成果発表を通じた議論および情報交換の機会を逸した形となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度はコロナ禍に見舞われ、当初の研究調査計画の見直しが迫られたが、研究計画にある3魚種の野外調査・分析を実施し、区切りのよいところまでデータを獲得することができた。フウライチョウチョウウオとニザダイについては投稿論文の作成を進めており、クロハコフグについてはすでに1報の論文を発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終仕上げとなる成果発表を推進する。2020年度に見送らざるを得なかった研究成果の学会および研究集会での発表を2021年度に実施する。また、研究成果の論文発表準備を進め、国際誌へ投稿する計画である。
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Causes of Carryover |
2000年度においては予期せぬコロナ禍の社会影響を受け、野外調査の実施期間の制約や、学会等での研究成果の発表機会を逸するなど、調査計画全体の進行が遅延した。その状況の中で着実に成果を取りまとめる必要があるため、補助事業期間延長承認申請を提出し、次年度使用額が発生している。 2021年度においては本研究の補足調査分析費(物品費・その他)および研究論文の投稿費(その他)として使用予定である。対面での学会・学術集会が開催される社会状況であれば、学会への参加発表のための旅費として使用する計画である。
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