2020 Fiscal Year Research-status Report
The origin and endemism of the reef-building corals in the temperate region of Japan
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18K06423
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
深見 裕伸 宮崎大学, 農学部, 教授 (50402756)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 隠蔽種 / イシサンゴ / 温帯域 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者のこれまでの調査により、日本固有種や温帯型隠蔽種とみられる種の一部が台湾北部でも発見されたことから、日本固有とされている種は台湾北部から直接加入してきている可能性が出てきた。そこで本研究では、日本温帯域と台湾を中心に、比較として日本亜熱帯域を加え、それらのサンゴ相の野外分布調査を行うと共に、日本固有とされている種に焦点を当て環境要因、分類学的・遺伝学的な関係性を精査し、日本温帯域のサンゴ群集の独自性もしくは台湾との共通性を明確にし、これらの群集がいつ、どこから、どの様にして今ある場所に存在するのに至ったのかを推定することを目的とする。 今年度は、台湾での調査ができなかったため、これまで採集した台湾および日本の試料の遺伝的および形態的な解析を行った。特に、パリカメノコキクメイシ属のパリカメノコキクメイシという種に焦点を集中的に解析を行った。その結果、日本国内でみられるパリカメノコキクメイシには隠蔽種が存在することが判明し、従来パリカメノコキクメイシと言われていた種は2種に区別できることが明らかとなった。うち1種は、従来通りパリカメノコキクメイシであったが奄美大島から沖縄までの亜熱帯域にのみに生息することが判明した。一方、もう一種は隠蔽種であり、日本温帯域に優占しており、沖縄さらには台湾でも確認することができた。加えて、この隠蔽種については、集団間での違いも見られた。特に、沖縄集団のみ日本温帯域および台湾の集団から遺伝的に離れていた。そのため、沖縄集団がさらなる隠蔽種である可能性もある。これらのデータは現在国際雑誌に投稿中である。 また、喜界島での調査で採集したサンゴについては喜界島サンゴ礁研究所から出版されたウェブ図鑑に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、海外での調査が不可能な状況であったため、台湾での調査ができなかったが、これまで採集した試料を詳細に解析した結果、日本温帯域での隠蔽種の存在とそれが台湾に生息していることが明らかとなった。このように成果がでているため、基本的に順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度が最終年にあたるため、状況が許せば台湾での調査を行いたいと考えている。ただし、それが不可能な場合は、協力者である台湾のカウンターパートに手伝ってもらう算段をつけている。しかし、それについても不可能な場合は、現在手持ちの試料をより詳細に解析することで研究を進めていく。 また、延期になっていた国際サンゴ礁学会が2021年度に開催されるため、そこで成果を発表する予定である。
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Causes of Carryover |
海外での調査できなかったこと、および海外での国際学会が延期になったことが理由である。 2021年度は国際学会がウェブで開催されるため、それに参加する予定である。また、海外(台湾)調査は現時点で行くことを予定しているが、コロナウィルス感染拡大などの影響でいけなかった場合は、これまで採集した試料を遺伝的および形態的に精査することで研究を行う。どうしても必要になる場合には、台湾にいる協力研究者に手助けしてもらうことをすでに話合っている。
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Research Products
(2 results)