2019 Fiscal Year Research-status Report
南西諸島域における造礁サンゴ群集の安定度・攪乱応答比較
Project/Area Number |
18K06424
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
中村 崇 琉球大学, 理学部, 准教授 (40404553)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | サンゴ白化 / 琉球列島 / サンゴ群集 / 攪乱 / 白化 / フィールド調査 / モニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
琉球列島でのより詳細なデータを取得するため、これまでの中琉球での調査継続に加えて、北琉球(屋久島近辺)と、昨年度実施を断念した南琉球(石西礁湖)での調査を実施した。加えて、初年度の調査終了後に大型の台風(24号・25号)が琉球列島を通過した与論島北西側の主要サンゴ群集での波浪による壊滅的な被害(物理的被害により多くのサンゴが破損・消失)を明らかにするための調査を実施し、サンゴの被度が約75%から10%以下に低下したことを明らかにした。島々の周辺海域に見られるサンゴ群集の現状(サンゴ被度・属レベル組成・多様度と併せて、底質組成や稚サンゴ密度など)を定量的に把握し、サンゴ群集の特徴比較をおこなうことを目指した今年度の調査では、該当調査海域でのライントランセクト法による潜水調査により、琉球列島における広域レベルでの優占サンゴ種群や、特定の島や調査地点でのみ見つかるような希少性の高いサンゴ種のリスト化を行った。 実験系では、屋外水槽での飼育実験を実施し、多段階の水温設定をおこなった飼育実験系を用いて、呼吸量計測をおこない、代謝変化の数値化を進めた。実験結果から、水温上昇による環境負荷影響について、同じミドリイシ属のサンゴ種においても、高水温負荷が大きくかかる温度域が種によって異なることを示唆するデータを得た。 一連の成果については、学会での発表に加え、一般向け還元として、自然再生協議会などでの講演をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度末に予定していた与論島での一般向け講演会が新型コロナウイルスの感染拡大防止の対応のため中止となった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である今年度は、琉球列島の南北比較を進めるうえでの詳細データを取得するため、今年度は沖縄島周辺の各海域での調査継続に加えて、宮古島・多良間島の周辺海域と、奄美大島や徳之島などでの調査を実施予定である。また、本年度は、各海域での底砂の採取を実施する。採取した砂はその粒子についてのデータ化とともに、人工物(プラスチックなど)の含有有無を調べる予定であり、それらの粒子がサンゴに及ぼす影響を明らかにするための実験系の確立を目指す。これまでのデータを統合した解析をすすめ、各海域での造礁サンゴ群集の安定度を示しつつ、近年の攪乱による影響を強く受けていると考えられる南琉球と、比較的攪乱影響が少ないと考えられる北琉球との比較を進めながら、安定度の指標となるサンゴ種群組成パターンを検討する。成果については論文化および学会等での発表を進める。
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[Journal Article] Phosphate Enrichment Hampers Development of Juvenile Acropora digitifera Coral by Inhibiting Skeleton Formation2019
Author(s)
Iijima M, Yasumoto K, Yasumoto J, Yasumoto-Hirose M, Kuniya N, Takeuchi R, Nozaki M, Nanba N, Nakamura T, Jimbo M, Watabe S.
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Journal Title
Mar Biotechnol
Volume: 21
Pages: 291-300
DOI
Peer Reviewed
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