2018 Fiscal Year Research-status Report
Qualitative and quantitative evaluation of lipid coating on avian egg surface
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18K06429
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松井 晋 東海大学, 生物学部, 講師 (20727292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 敦 東海大学, 生物学部, 講師 (80205898)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 卵殻表面構造 / 撥水性 |
Outline of Annual Research Achievements |
鳥類の卵殻は炭酸カルシウムを主成分とし,その外側は多糖類,水酸アパタイトの結晶,脂質,糖タンパク質から成る薄い層で覆われ、細菌などの病原体が卵内に侵入することを防ぐ重要な役割を担っている.しかし,鳥類の卵殻を覆う層の構造や成分はニワトリや一部のガンカモ類を除いてほとんど研究されていない.そこで本研究では,営巣環境の異なるスズメ目鳥類 2 種であるスズメ Passer montanusとシジュウカラ Parus mionrを対象に,卵殻表面の構造と撥水性を比較することを目的とした.卵殻の撥水性を種間で比較するために,接触角計を用いて卵殻表面に水滴を定着させたときの接触角を測定した.接触角とは,固体表面を基準に液滴の端点における液の角度で,この角度が大きいほど撥水性が高いことを示す.また,各種の卵殻にみられる気孔数を種間もしくは卵殻の部位(鋭角部,赤道部,鈍角部)で比較するため,スズメとシジュウカラの 卵殻表面を走査型電子顕微鏡で観察した.シジュウカラの卵では,産卵期と抱卵期を含むグループのほうが未孵化卵のみのグループと比較して卵表面の撥水性が高かった.また,スズメとシジュウカラの未孵化卵の撥水性にはほとんど差はみられなかった.スズメとシジュウカラの卵殻の気孔密度は,2 種ともに鋭角部,赤道部,鈍角部にかけて減少し,スズメの気孔密度はシジュウカラより少ないことも明らかとなった.これらのことから,鳥類の卵表面に存在する気孔密度には種間による違いがあること,孵化に至らなかった卵は表面の撥水性が低いことなどが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で対象とするシジュウカラやスズメなどの鳥類が,順調に巣箱を利用して営巣したため,本研究課題を遂行する上で重要な鳥類の繁殖生態に関する野外データを収集することができた. 鳥類を対象とする生態学の分野で,接触角計を用いて卵殻表面の撥水性を測定した研究は,我々の知る限りでは国内にこれまで例がなく,世界的にみてもごく一部の研究者のみが実施している研究課題である.そのような現状で,本研究では,初年度に曲面補正が可能な接触角計を用いて,鳥類の卵殻表面の接触角を適切に測定し,撥水性を定量的に評価することが可能となった.また卵殻表面を走査型電子顕微鏡で観察することで,卵表面にみられる気孔の密度を測定,比較する手法も導入して研究を発展させることができた.さらに,卵殻表面を覆う脂質が,産卵されたときにすでに卵表面を覆っているのか,もしくは,産卵後に親が卵を温める際に抱卵斑とよばれる皮膚が裸出した部分から移行するのかについて,擬卵を用いて実験的に確かめるための手法も確立することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
鳥類の卵殻表面の撥水性について,種間もしくは繁殖ステージ間(産卵期や抱卵期)の違いを明らかにするためには,同じ条件で複数種の卵表面の撥水性を測定し,それぞれの対象種について各繁殖ステージ間で比較可能な必要最低限以上のデータを効率よく収集する必要がある.また巣箱で繁殖する鳥類を定期的にモニタリングして,繁殖状況を詳細に把握し,適切なタイミングでサンプリングを行うことが必要不可欠となる.このため研究代表者は,この研究課題に関連する野外データの収集と室内実験の作業を,研究分担者と分担して効率よく実施する予定である.調査地は,シジュウカラやスズメが巣箱を利用して例年繁殖している場所で継続的に実施する. これまでに本研究に関連して手法を確立させた卵殻表面を覆う脂質の定性・定量評価,2018年度に新しく自身の研究に導入した接触角計を用いた測定,走査型電子顕微鏡による表面構造の観察,擬卵を用いた野外実験などを用いて,今後は本研究に関する仮説を検証するためのサンプリングを実施していく予定である.
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Causes of Carryover |
2018年度に計画していた一部の実験については、サンプル数が十分得られる見通しのたった次年度に実施したほうが合理的と判断したため、次年度使用額が生じた。これらは前年度より多く得られる見込みのサンプルの処理や、得られた成果の発表する際に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)