2018 Fiscal Year Research-status Report
アワノメイガ幼虫によるカビ毒産生糸状菌の体内保持・拡散機構の解明
Project/Area Number |
18K06439
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
中川 博之 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 上級研究員 (30308192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 麻衣子 国立医薬品食品衛生研究所, 衛生微生物部, 室長 (00432013)
増中 章 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 西日本農業研究センター, 主任研究員 (80466010)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アワノメイガ / Fusarium / トウモロコシ / カビ毒 |
Outline of Annual Research Achievements |
アワノメイガ幼虫体内から分離されるFusarium属菌の菌種や特徴を把握するために、農研機構内のトウモロコシ栽培圃場においてアワノメイガ幼虫の採集を実施した。得られた32匹のアワノメイガ幼虫について、表面殺菌(70%エタノール溶液、希次亜塩素酸溶液で幼虫を洗浄)した後、バイオマッシャー(簡易型粉砕器)を用いてすりつぶし、これを生理食塩水(滅菌済)に懸濁・希釈後、寒天平板培地に塗布し、数日間培養することでFusarium属菌の分離を試みた。その結果、32匹のアワノメイガ幼虫からFusarium spp.と推定される27株が分離された。寒天平板上の巨大集落観察像および顕微鏡観察像から、分離した27株のうちの22株が、フモニシン産生性が従来報告されているGibbellera fujikuroi species complexまたはF. oxysporumであることが示唆された。これらの結果により、当該トウモロコシ圃場にはFusarium属菌が多数生息していること、また、それらの菌がアワノメイガ幼虫体内から分離されることが確認された。分離株については、現在個別培養と機器分析手法によるフモニシン産生試験を実施するとともに、EF-1alpha、beta-tubulin遺伝子のシークエンス情報に基づいて、Gibbellera fujikuroi species complexとなった株の種レベルの同定を進めている。人工飼料を用いたアワノメイガ幼虫の飼育も併行して実施しているが、生育の安定化が課題となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
農研機構内のトウモロコシ栽培圃場においてアワノメイガ幼虫を採集し、得られた32匹のアワノメイガ幼虫体内から27株のFusarium属と推定される糸状菌を分離することに成功した。また、このうち22株がフモニシン産生菌として報告されているGibbellera fujikuroi species complexまたはF. oxysporumであることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
人工飼料を用いたアワノメイガ幼虫の飼育も併行して実施しているが、生育の安定化が課題となっている。このため、飼育サイクルの安定化を試みるとともに、サイクルが循環(幼虫→蛹→成虫→卵→幼虫)できない場合でも、共焦点顕微鏡を用いた観察等により、アワノメイガ幼虫体内におけるFusarium属菌の滞留を観察する手法の開発を試みる。
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Causes of Carryover |
採集したアワノメイガ幼虫の個体数に限りがあり、その大半を菌の分離に使用したため、人工飼料を用いた飼育条件検討に使用した器具や試薬の消費が当初の予定よりも少なかったため。本年度は飼育サイクルの安定化を試みるため、飼育条件の検討を充分に行う予定である。
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