2020 Fiscal Year Annual Research Report
A comprehensive study of genetic and physiological adaptation mechanisms to hypobaric hypoxia in Andean highlanders
Project/Area Number |
18K06441
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
安河内 彦輝 三重大学, 地域イノベーション推進機構, 助教 (60624525)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 高地適応 / 低圧低酸素 / 自然選択 / ボリビア / アンデス / EGLN1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アンデス高地集団の低圧低酸素環境への適応に寄与する遺伝的・生理的特性を包括的に理解することを目的とした。まず、低酸素応答に関係するEGLN1遺伝子に注目した。20歳以上の南米ボリビア高地集団99名を対象に4座位のEGLN1多型解析を行い、その結果からハプロタイプを推定した。ハプロタイプと生理データとの関連を調査したところ、Hb濃度と有意な関連を示した。データベースの他集団のハプロタイプ頻度情報と比較すると、南米高地集団でのみ頻度が高くなっているハプロタイプを初めて発見した。さらに、EGLN1遺伝子周辺のボリビア集団特異的な遺伝的構造が、同高地集団に特徴的な高いHb濃度に寄与している可能性を示した。この結果は論文として学術雑誌に受理されている。 さらに、研究期間中に決定したボリビア高地集団25名の全ゲノム塩基配列を用いて、高地適応に寄与する遺伝子領域を網羅的に探索した。データベースからも南米、欧米、アフリカ、東アジア集団の全ゲノム配列データを取得し、クオリティ・コントロールを行った上で約2330万座位の多型データセットを生成した。そして、NGSadmixといった遺伝的集団構造解析を行い、各集団間の混血率を推定した。この情報をもとに混血の影響を抑えた上で、PBS (population branch statistic)の改良法を自然選択検出法として適用した。この解析からは、7座位のゲノム領域でPBSが特に高い値を示した。このうち、先行研究でも報告されたTMEM38B遺伝子が本研究でも同定された。他の座位は遺伝子間領域や偽遺伝子であったことから、高地適応に寄与するか評価することが困難であった。しかし、データベース情報から転写因子やヒストン修飾の作用を推定したところ、TGFA遺伝子がボリビア集団の高地適応に寄与した可能性が初めて示された。
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Research Products
(7 results)