2018 Fiscal Year Research-status Report
三半規管を中心とした平衡感覚と自律神経による循環制御の関係
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18K06451
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Research Institution | Gihu University of Medical Science |
Principal Investigator |
田中 邦彦 岐阜医療科学大学, 保健科学部, 教授 (60313871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 明弘 岐阜医療科学大学, 保健科学部, 講師 (00528630)
川田 徹 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (30243752)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 三半規管 / 鼓膜 / 迷走神経 / 三叉神経 / 心拍数 / カロリックテスト |
Outline of Annual Research Achievements |
内耳前庭系のうち,直線加速度・重力を感知する耳石器が,交感神経活動に影響を与えることが知られている。我々はこの反射系が重力変化時の血圧上昇や姿勢変化時の血圧維持に重要であること,さらに長期の宇宙滞在ではその応答性が限弱することなどを報告してきた。一方,同様に平衡感覚器官であり,回転加速度を感知する三半規管を介した自律神経活動や循環調節系への影響は不明である。 まず,めまいのような三半規管由来の疾患に有効とされる部位への鍼刺激を行いつつ,起立時血圧変化を記録した。元来起立時に血圧が低下しない被検者には有意な影響は認められなかったが,起立時に血圧が低下する被検者においては起立直後の血圧調節の改善が認められた。 また,三半規管機能試験である寒冷刺激によるエアーカロリックテストを行いつつ,連続的に心拍数と血圧を記録したところ,外耳孔から寒冷刺激を開始した直後から反射的に心拍数の低下を認めた。その後徐々に回復傾向を認め,寒冷刺激終了後直ちに前値に回復した。血圧は低下する被検者と低下しない被検者が認められた。刺激終了後1分間程度めまいを認めた。この心拍数低下は37度での刺激,外耳孔の周辺への寒冷刺激では認められなかったことから,エアーによる器械的刺激や,三叉神経由来の反応ではないと考えられた。さらに,心拍数が低下する時間帯(刺激中)と,めまいの出現する時間帯(刺激終了後)が全く異なっていること,両側の外耳孔から同時に寒冷刺激した際にはめまいが出現しないにも関わらず心拍数が低下することなどから,この心拍数低下は三半規管機能とは一見無関係であった。しかし血圧が低下しない被検者において眼振の程度(緩徐相速度)と心拍数変化が有意に相関したことから,鼓膜の温度受容器もしくは求心神経等においてなにかしら三半規管と共通部分が存在するのではないかと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画であった三半規管の機能検査であるエアーカロリックテストを施行しつつ循環動態を計測し,その関係を考察するという実験については順調に行うことができた。このとき,寒冷刺激後の,めまい発現時に循環動態,特に自律神経活動の指標である心拍変動が変化するのではないかと考えていたが,そうではなく寒冷刺激開始直後から平均心拍数が有意に低下した。この低下は非常に迅速な応答であることから,心臓交感神経活動低下よりも迷走神経活動増加によるものではなかと推測される。めまいの発現時期に無関係であることから,三半規管よりも鼓膜に温度受容器が存在し,反射的に自律神経活動を変えているのではないかと考えられる。この応答はこれまで報告がないため非常に興味深く,今後はこちらの応答を中心に研究を進めることも視野に入れつつ進めて行きたい。したがって当初の予想とは進展が異なるが,実験としては予定どおり完了しているため,おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究において三半規管もしくは鼓膜の温度受容器を介した心拍応答が存在することが考えられたため,今後はその詳細な反応条件と,反射経路について研究を進めていくことを考えている。 まず臨床研究においては,前述の応答が重力とも関連していること,すなわち耳石器の機能とも関連している印象であるため,身体にかかる重力方向を変化させつつ同様の計測を行う。 また,反射経路を追及するにあたっては臨床研究で行うことは非常に困難であるため動物実験を行う。受容器の存在箇所を同定するため鼓膜,三半規管それぞれもしくは両方の機能を低下させた状態で寒冷刺激に対して反応がどう変化するか,求心路を同定するため,鼓膜もしくは三半規管由来の神経を除した状態あるいは遠心路を同定するため種々の薬剤もしくは外科的に徐神経した状態で応答がどう変化するかを同定したい。また可能であれば中枢神経系の反射経路を同定するため免疫染色も進めていきたいと考える。
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Causes of Carryover |
(理由) 重力応答に関する計測まで行うことを考えたが,刺激装置が予想外に高価であるため残額で購入することができず,次年度に請求させていただき合わせて今後の研究に使用させていただくこととした。 (使用計画) 刺激装置のうちコントローラーは自作することで使用を抑制するとともに,翌年度分とあわせて末端装置を購入させていただくことで次年度の実験に使用したい。
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Research Products
(5 results)