2020 Fiscal Year Annual Research Report
Did the brain evolution accelerate the speciation?; The neural mechanism of premating isolation.
Project/Area Number |
18K06462
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
川口 将史 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (30513056)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 間脳 / 視床下部 / 視索前域 / 配偶者選択 / c-fos / 魚類 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゼブラフィッシュ胚において、視床下部の発生に関わる転写因子群の分布パターンが報告され、他の脊椎動物との保存性が示唆された (Schredelseker & Driever, 2020)。そこで、ヨシノボリの成体脳において、これらの転写因子の分布を解析し、ゼブラフィッシュ胚での結果と比較した。その結果、硬骨魚類の成魚において、視床下部に属する神経核の位置関係を初めて詳細に明らかにした。1) 大型のチロシン水酸化酵素(TH)陽性細胞を多く含む後結節側脳室部(PPT)は間脳基板に由来すると考えられてきたが、pax7陽性のプロソメア3基板より前方・腹側にあり、arx陽性であることから、視床下部結節後部領域の腹側部(RTuV)に由来することがわかった。2) 腹側視床(arxおよびpax6陽性)の後方、プロソメア3基板の腹側に、otp陽性細胞を多く含む脳領域が見いだされた。この領域は、ゼブラフィッシュ胚で後結節腹側部(PTv)と名付けられた領域に相当すると考えられる。 同種雌に対する求愛と別種雌に対する威嚇で、雄の行動の違いを定量化した。雌の近くから巣に戻る際、1秒間に尾鰭を振った回数を0.25秒ごとに計測した。その結果、求愛では0.25秒に1回のペースで尾鰭を振り続けるのに対し、威嚇では最初の0.25秒に2回尾鰭を振った後は尾鰭を振らないことがわかった。威嚇時の尾鰭の動きは、巣に戻る推進力を得るためのものであるのに対し、求愛時のものは雌を巣に誘引する視覚シグナルになると考えられる。 視床下部の前方に位置する視索前域において、求愛の際にはer-alpha陽性の小細胞部腹側域(Ppa-v)に、威嚇の際にはsix3陽性の小細胞部背側域(Ppa-d)に、多くのc-fos陽性細胞が分布していた。またPTvに分布するc-fos陽性細胞の数は、同種雌への求愛時には多く、別種雌への威嚇時には少なかった。
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Remarks |
2020年度はコロナウィルス感染防止対策のため、学会発表を中止した。
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Research Products
(1 results)