2020 Fiscal Year Annual Research Report
Neural activity-dependent transcription factor Npas4 is required for neuroprotection and survival after stroke
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18K06465
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
高橋 弘雄 香川大学, 医学部, 助教 (20390685)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / Npas4 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳血管疾患は、本邦の死因の4位となる発生頻度の高い疾患である。その多くを占める脳梗塞について、発症後の脳内の変化を研究することは、効果的な治療法の開発のために、極めて重要である。そこで本研究は、脳梗塞による神経回路の破綻を防ぐ内在性の分子メカニズムを解析する。 これまでに本研究代表者らは、健常な脳において、神経活動依存的にニューロンの発達を促進する分子メカニズムの研究を行った。興味深いことに、健常な脳で、ニューロンの発達を促進する転写因子Npas4は、脳梗塞後の大脳皮質では、梗塞巣の拡大を防ぎ、予後の運動機能を保つ役割を果たす。そこで本研究は、脳梗塞の際にNpas4がニューロンの生存を促進するメカニズムの解明を目指す。内在性の脳を守る分子基盤を明らかとして、新たな治療法に繋がる知見を得る。 本年度は、虚血ニューロンにおいて、Npas4がどのように細胞死を防ぐのか?そのメカニズムを明らかとする研究を行った。初代培養ニューロンを用いた解析から、虚血に伴うCa2+流入により、Npas4の発現が誘導されることを見出した。興味深いことに、Npas4を過剰発現すると、虚血ニューロンにおけるL型電位依存性Ca2+チャネルの働きが抑えられることが分かった。Npas4は、細胞表面に移行するL型電位依存性Ca2+チャネルの量を減少させることで、虚血時の過剰なCa2+流入を抑えることが明らかとなった。これらの解析から、虚血時のニューロンでは、虚血に伴うCa2+流入によりNpas4の発現が誘導され、Npas4はL型電位依存性Ca2+チャネルの働きを抑えることにより、過剰なCa2+流入を防ぐネガティブレキュレーターとして働いていることが明らかとなった。
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