2019 Fiscal Year Research-status Report
非類似の先行学習および抗不安薬が後続学習を成立させ記憶に残すメカニズムの解明
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18K06470
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
田村 英紀 星薬科大学, 先端生命科学研究所, 特任准教授 (80437516)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 記憶痕跡 / エピソード記憶 / 先行学習 / 連合記憶 / ドーパミン |
Outline of Annual Research Achievements |
比較的興奮性の高い細胞群は、記憶痕跡に関わる可能性が高いことが示唆されている。実際、学習直前に、人為的に細胞を活性化させると、それら興奮性が高まった神経細胞に選択的に記憶痕跡が形成される。このように、細胞興奮性は人為的に操作できるが、学習や記憶想起などの生理的条件下でも細胞興奮性は自然と高まり、またその状態は長時間持続する。本年度は、記憶想起が後続の学習に与える影響を検討した。その結果、先行学習を行ったマウスが、後に記憶を想起すると、その後の連合学習の効率が有意に増大した。この後続学習効率の増大は、先行の学習時間および記憶想起から後続学習までの時間に依存した。このことは、記憶想起による細胞興奮性増大の強度や持続時間は、常に一定ではなく、マウスが予めどれだけ正確に学習できたか否かに依存して変化し得ることを示す。 次に、先行学習が後続のエピソード記憶に影響を与える神経伝達物質について検討した。その結果、先行学習時に中程度にドーパミンシグナルを阻害すると、後続学習の記憶強度が増大した。従来、ドーパミンシグナルは、記憶の増強シグナルとしての役割を果たしていると考えられているため、本研究成果は、ドーパミンシグナルの新たな機能を示唆する。この仮説を明らかにするために、ドーパミンやノルアドレナリンなどのモノアミン系神経回路の人為的活動操作法を確立した。今後は、この方法論を用いて、先行学習効果のシグナルに関わる神経回路を同定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行学習の効果のメカニズムの一端を解明できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
先行学習の効果に関わる神経回路を同定する。
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Causes of Carryover |
(理由) 先行学習の効果に関わる神経伝達物質の解明が予想よりも効率良く行われたため。 (使用計画) 行動実験および神経解剖・生理に関わる消耗品を購入する予定である。
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