2023 Fiscal Year Annual Research Report
Structures and functions of synaptic cleft compartments
Project/Area Number |
18K06471
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
浜 千尋 京都産業大学, 総合学術研究所, 科研費研究員 (50238052)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アセチルコリン受容体 / シナプス間隙 / Hig / Hasp / ショウジョウバエ / サプレッサー変異 / シナプス / コリン作動性 |
Outline of Annual Research Achievements |
シナプスは神経機能の中心的な役割を担うため、多くの研究が精力的に行われてきた。その中で、シナプス前・後部の構造と機能について多くの知見が得られてきたが、中枢シナプス、特にコリン作動性シナプスの間隙については、そこに存在する物質とその機能に関して不明であった。 われわれはショウジョウバエの活動性低下変異体の解析から、HigとHaspという2種類の分泌性シナプス間隙タンパク質を同定し(Hoshino et al., 1993, 1996; Nakayama et al., 2016)、これらが脳内のニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)のシナプスにおける量を制御していることを明らかにした(Nakayama et al., 2013, 2016)。HigとHaspのうち、Higがより直接的にnAChRの局在量を制御していることが示唆された。そこで、本研究では、Higがどのようにしてサブユニット5量体であるnAChRに作用するのか、その機構を明らかにすることを目的とした。 Higと相互作用するタンパク質を同定する目的で、hig変異体の表現型を回復させるサプレッサー変異を化学変異誘起剤を用いて誘起し同定した(理化学研究所、工樂研究室と共同研究)。その結果、ショウジョウバエゲノムがもつ10種類のサブユニットのうちDalpha5に変異が生じていることが判明した。10種類のサブユニットの発現をRNAiによりノックダウンさせると、Dalpha5のみがhig変異体の表現型を回復させたことから、HigはDalpha5と特異的に作用することが明らかとなった。解析の結果、Dalpha5には、nAChRのシナプスにおける局在量を低下させる抑制的機能があり、シナプス間隙においてHigと結合することによりその機能が抑えられるというモデルを提出した(Nakayama et al., 2023)。
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