2019 Fiscal Year Research-status Report
中枢シナプスにおける同期・非同期性放出の統一的理解
Project/Area Number |
18K06472
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
三木 崇史 同志社大学, 研究開発推進機構, 助教 (10598577)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | シナプス / 神経伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経シナプスにおいて活動電位に同期・非同期して起こるシナプス小胞の放出パターンは、シナプス特性、すなわち神経細胞間情報伝達の性質に大きく影響する重要因子である。しかしながら、そのパターンを決めるメカニズムは不明な点が多い。昨年度は、同期・非同期性放出が同時に観察される小脳平行線維シナプスからパッチクランプ記録を行い、近年新たに申請者らが開発した新deconvolution法(Malagon, Miki, et al. 2016)を用いて同期・非同期性放出パターンの解析を行った。異なる測定条件下(細胞外カルシウム濃度、刺激頻度、TEA存在下)でのパターンも同様に解析し、これらを説明するためのモデルを構築し、同期・非同期性放出のメカニズムを明らかにした(Miki et al., Nat. Commun. 2018)。 今年度は、昨年度完成させたモデルを用いて、さらに異なる条件下(細胞外カルシウム濃度、TEA、4-APを組合わせた複数の条件)で測定したデータを詳細に解析した。結果、細胞外カルシウム濃度上昇に伴って放出部位での小胞の占有率が増加することを明らかにした。これは定常状態での細胞内カルシウム濃度が放出部位での小胞占有率を決定することを示唆していた。これまで細胞外カルシウム濃度を上げると放出確率が上昇することでシナプス強度が増加することが知られていたが、この結果は放出確率だけでなく放出部位での小胞占有率もシナプス強度増加に寄与していることを示唆していた。これらの研究は、学術論文として報告した(Malagon, Miki et al., eLife 2020)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画した研究は昨年度学術論文として報告し、さらに今年度は計画した研究から発展した内容の研究を報告することができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、シナプス小胞が放出により使われた後にどのように回復するかについて実験データとモデルシミュレーションを用いて検討する。これにより小脳平行線維シナプスでの高頻度で行われる神経伝達メカニズムの全容を解明する。
|
Causes of Carryover |
イメージングと電気生理が同時測定できる実験セットを構築するための機器(半導体レーザー、899800円)の購入を翌年度の予算と合わせて購入するよう予定を変更したため。
|
Research Products
(6 results)