2018 Fiscal Year Research-status Report
GABAA受容体新規結合因子GARLHを介した抑制性シナプスの新しい制御機構
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18K06490
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山崎 世和 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (60581402)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 抑制性シナプス / GABAA受容体 / GARLH / Neuroligin |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、i) GABAA受容体-GARLH-NL2三者複合体を形成する生理的意義は?ii) GARLHによる抑制性シナプス制御メカニズムは普遍的か?iii) どのように三者複合体は抑制性シナプスに局在するのか?という三つの問いを明らかにし、抑制性シナプスを制御する分子機構の総合的な理解を進展させる。3年間の研究計画のうち初年度にあたる2018年度において以下の研究結果を得た。三者複合体形成の生理的意義検討のため、GARLHのNL2結合領域を同定しGARLHのNL2と結合しない変異体の作成を試みた。しかしながら今回作成したGARLHの変異体はいずれも培養細胞で安定的に発現させることができず、結合領域を決めることができなかった。 よってGARLHの変異体を作成する従来の計画を変更し、GARLHと結合しないNL2変異体を作成することにした。一回膜貫通型のタンパク質であるNL2は、その膜貫通領域においてGARLHと結合することを先の研究で明らかにしている。よって現在、NL2の膜貫通領域をCD4の膜貫通領域と入れ替えた発現ベクターを作成している。 GARLHの普遍性については、NL2のファミリー分子に対するGARLHの結合を検討した。その結果、GARLHはNLファミリー全て(NL1, 2, 3, 4)と結合できることが明らかとなった。さらにその後のマウス脳サンプルの免疫沈降で、この結合がin vivoにおいても見られることが確認された。NLファミリーのうち、NL1は特に興奮性シナプスの接着分子として知られていることから、今回の抑制性の因子であるGARLHとの結合は非常に興味深いものである。現在は、GARLHのNL1結合がNL1の局在や興奮性シナプス制御に影響を与えるのかについて解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GARLHの三者複合体の生理機能検討については、当初計画していたGARLHの変異体作成がうまくいかず方針を転換することとなったが、速やかにNL2変異体作成という代替の計画を走らせており、研究の遅れは最小限に抑えられている。GARLHの普遍性検討については、比較的予定通りに進行している。さらにGARLHが興奮性のNeuroliginであるNL1とも結合することを見出しており、興味深い発見があった。NL1との結合は、これまで抑制性シナプスのみに関与すると考えられていたGARLHが、直接的か間接的かはいまだ不明であるが、興奮性シナプスにも何らかの影響を与える可能性を示しており、今後の研究において新たな展開に発展していくことが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に得られた結果に基づいて、当初の予定通り抑制性シナプス制御因子GARLHの研究を通して、抑制性シナプスを制御する分子機構の解明に当たる。二年目に当たる2019年度は、特に分子・細胞レベルの解析から、神経回路、個体レベルの解析に研究をシフトさせ、より高次元における生理的役割解明を目指す。これらに必要となるNeuroligin欠損マウスやGARLHのマウス脳における発現抑制の系や、脳全体の細胞に遺伝子発現するAAVベクターについても、順次立ち上げ・導入を行う。
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Causes of Carryover |
当初アフリカツメガエルの卵母細胞を用いた実験系を新たに立ち上げることを計画していたが、培養細胞を用いた実験系に切り替えることで所属研究室の既存の設備を利用することができ、予想よりも研究費を抑えることができた。これを次年度以降に計画している神経初代培養細胞やマウスを用いた実験にあてることで有効に活用する。
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