2020 Fiscal Year Research-status Report
Control of neurite development by a novel SUMOylation-regulating mechanism
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18K06491
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
秋山 博紀 早稲田大学, 人間科学学術院, その他(招聘研究員) (40568854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 伸一 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (70337369)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | SUMO化 / SENP5 / 神経発生 / 突起伸長 |
Outline of Annual Research Achievements |
SUMO化はタンパク質機能を制御する可逆的な翻訳後修飾の一種であり,がんや神経変性疾患などとの関連も指摘され,注目を集めている。しかし,神経系発生過程におけるSUMO化の機能の詳細は不明である。我々は,新規に同定したSENP5のペプチダーゼ活性欠失型アイソフォームが脱SUMO化を阻害することを見出した。神経突起発達が盛んな胎生後期の脳には,従来型・活性欠失型双方のSENP5が発現しており,このふたつのアイソフォームによる拮抗的SUMO化調節によって突起発達が制御される可能性がある。本研究課題ではこの新規SUMO化調節を介した神経突起発達制御機構の詳細解明を目指しており,昨年度までに,従来型・活性欠失型SENP5のノックダウン,強制発現により神経突起発達ならびに大脳皮質発生が制御されることを示した。今年度は,この制御の分子機構の解明を目指した。 ミトコンドリアの分裂に必要なDrp-1はSENP5依存的なSUMO化状態の調節により安定性が変化することが知られている。免疫沈降およびWestern blotting によって,従来型/活性欠失型SENP5によりDrp-1の脱SUMO化/SUMO化が亢進することを明らかにした。また,従来型/活性欠失型SENP5によりミトコンドリアが長く/短くなること,Drp1強制発現によるミトコンドリア長の短縮がSUMO化不能型Drp1の強制発現では見られないことを示した。さらに,このDrp1のSUMO化によるミトコンドリア長の制御が大脳皮質発生期の神経細胞でも見られることをin utero電気穿孔法を用いた解析によって明らかにした。これらの結果から,従来型・活性欠失型SENP5によるDrp1のSUMO化状態の調節を介したミトコンドリアダイナミクスの制御系が神経突起発達,大脳皮質発生に必要であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19理由:当初の予定通り,SENP5依存的なSUMO化調節を受け,大脳皮質発生および神経突起発達を制御する分子としてDrp1を同定した。しかし,COVID-19の影響から2020年度のうち半年間に渡って実験が制限されたため,SENP5依存的なSUMO化調節がどのようにしてDrp1の活性を制御するか,そのメカニズムの解明まで至らなかった。の影響により,2020年度のうち半年間に渡って実験が制限されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
SENP5依存的なSUMO化調節がどのようにしてDrp1の活性を制御するかを明らかにするため,以下3つの仮説を検証する。1) SUMO化とユビキチン化の拮抗によるSENP5タンパクの安定化制御,2) SUMO化によるSENP5の細胞内局在制御,3) SUMO化依存的なDrp1による小胞体構造調節。上記1)に関しては,SUMO1を用いたin vitro実験系ですでにそれを示唆する報告があり,SUMO3を用いている本実験系においてもこの経路が関与する可能性は高いと考えられる。また,上記2)については,アポトーシス関連経路として,Drp1のSUMO化状態の変化によるミトコンドリア外膜上のタンパク質とDrp1の結合調節が報告されているため,本実験系において検証する価値がある。上記3)については, SUMO化の関与は明らかになっていないものの,Drp1による小胞体構造調節に必須な4つのリジン残基がいずれもSUMO化標的部位であることから,小胞体構造調節を介したミトコンドリア長の制御がSENP5依存的に引き起こされる可能性は考えられる。
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Causes of Carryover |
今年度はCOVID-19の影響から半年間に渡って実験が制限された。SUMO化調節を介した神経突起発達制御機構の詳細解明を目指し実験を計画していたが,一部が実施できていない。これにより,本研究課題の延長ならびに次年度使用額が生じた。これらの費用は計画通り,SUMO化制御の確認および皮質発生・突起発達制御の分子メカニズム詳細解明のための実験,具体的には「今後の研究の推進方針」に記載した3つの仮説を検証するための実験に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)