2020 Fiscal Year Annual Research Report
Role of the ER stress-related molecule ATF6b in a mouse model of multiple sclerosis
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18K06500
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
堀 修 金沢大学, 医学系, 教授 (60303947)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 小胞体ストレス / 神経細胞 / グリア細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はまず、ATF6betaが持つ神経保護作用のメカニズムを明らかにするため、野生型及びATF6beta KOマウス脳由来サンプルを用いてRNA-シークエンスを行った。その結果、ATF6beta KOマウス脳においては、小胞体内分子シャペロンの中でも強いCa結合能を持つカルレティキュリン(CRT)の発現が特異的に減少していることを見出した。その後、RT-qPCR、ウエスタンブロット、レポーター解析においても同様の結果を得た。次に、細胞内小器官別Caインディケーター GCaMPf6(細胞質)、G-CEPIA1er(小胞体)、G-CEPIA1er(小胞体)、CEPIA2mt(ミトコンドリア)を用いてCa濃度を測定した。その結果、ATF6beta KOマウス由来神経細胞では小胞体内のCa濃度が野生型マウス由来神経細胞の約半分程度にまで減少し、逆に細胞質のCa濃度は増加していることが明らかになった。さらに、ATF6beta KO神経細胞で増加する小胞体ストレス由来神経細胞死が、CRT cDNAの強制発現あるいはCa制御化合物の処理により改善することも明らかになった。これらのことから、ATF6betaはCRTの発現を増加させることで神経細胞内のCa恒常性維持を強化し、小胞体ストレスから神経細胞を保護していることが示唆された。 一方、ATF6beta cRNAを用いたin situ hybridizationの結果から、EAE後のマウス脊髄白質に存在するオリゴデンドロサイトにおいてATF6betaの発現が増加すること、およびATF6beta KOマウス由来の脊髄白質においてCRTの発現が低下していることを見出した。以上のことは、脊髄白質、特にオリゴデンドロサイトに発現するATF6betaおよびその標的遺伝子CRTがEAEの病態に重要な役割を担っていることを示唆するものである。
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