2018 Fiscal Year Research-status Report
プリオンによるAβ・タウ・αシヌクレイン・TDP43の脳内沈着誘発の可能性の検討
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18K06506
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
高尾 昌樹 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (50245487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美原 盤 公益財団法人脳血管研究所, その他部局等, 研究員(移行) (30190721)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | プリオン病 / 網膜 / クロイツフェルト・ヤコブ病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的である,プリオン病症例の中枢神経系における神経変性疾患関連蛋白の沈着を検討する過程において,本年度は,主に組織染色を準備することが主眼であった.その過程において,プリオン病症例のなかに,その網膜においてPrPresの沈着をきたす症例があった.近年,アルツハイマー病,パーキンソン病などの網膜において,タウ,アミロイドβ,αシヌクレインなど,神経変性疾患関連蛋白の沈着が報告されている. こういった背景から,孤発性,遺伝性などのプリオン病において,網膜にPrPres沈着を認めるかどうかを先に検討することとした.その結果,網膜におけるPrPres沈着は,プリオン病において,恒常的に観察されることがわかった.過去には,sCJD,vCJDの網膜において,PrPres沈着が報告されているが,本研究では,遺伝性CJDやtype1MM以外のsCJDの網膜にもPrPresが沈着することをはじめて明らかにした.同時に,神経変性疾患関連蛋白の網膜への沈着の有無も検討したが,タウ,アミロイドβ,αシヌクレイン,TDP-43の沈着は認めなかった.以上から,網膜においては,PrPres沈着は恒常的にみられるが,ほかの神経変性疾患関連蛋白の沈着を惹起する可能性は少ないと考えられた.この結果は,PrPres deposition in the retina is a common finding of sporadic, familial and iatrogenic Creutzfeldt-Jakob diseases (CJD) として報告した(Acta Neuropathol Commun. 2018; 6: 78).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度の当初の目標は,プリオン病症例の基本的な組織染色や免疫染色を施行して,2019年度の解析に使用できる状態にすることである.新規剖検症例の組織染色にはやや遅れがあることから,上記と判断した.一方,研究実績に示したように,当初計画されていなかったが,本研究において重要と考慮される,網膜におけるプリオン病のPrPres沈着を明らかにすることもできた.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は,2018年度に残っている病理標本の染色を継続すると同時に,すでに完成している症例に関して,順次病理学的解析を継続する.
研究計画どおり,神経変性疾患関連蛋白,アミロイドβ,タウ,αシヌクレイン,TDP-43の脳内病理学的ステージングに関して,順次開始する.結果は解析が容易になるような表を作成して系統立って行う.
同時に,新規症例が増えているので,研究計画にあるように,一定の基準に従った病理標本作製,病理標本の染色を継続する.
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