2020 Fiscal Year Research-status Report
プリオンによるAβ・タウ・αシヌクレイン・TDP43の脳内沈着誘発の可能性の検討
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18K06506
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
高尾 昌樹 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 病院 臨床検査部, 部長 (50245487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美原 盤 公益財団法人脳血管研究所, その他部局等, 研究員(移行) (30190721)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プリオン病 / クロイツフェルト・ヤコブ病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的である,プリオン病症例の中枢神経系における神経変性疾患関連蛋白の沈着を検討する過程において、2020年度も継続して病理解剖の症例を継続して行い、病理組織標本の作成と検索を継続した。新規病理解剖例は15例の症例が追加された。あらたに12例の神経病理所見を検討した。 アミロイドβとタウタンパクの組み合わせから判定するアルツハイマー病病理の程度は、クロイツフェルト・ヤコブ病だけに限り、NIA-AAの国際分類によって、アルツハイマー病らしさを4段階に分類すると、none 56%, low 33%, intermediate 8%, high 3%。タウの拡がりをBraak stageで分類すると、0;36%, 1-2;53%, 3-4; 6%, 5-6 2%であった。アルファシヌクレインの沈着としてレビー小体は8%にみられた。TDP-43に関しては染色部位を含め再施行中である。 海綿状変性のステージングについては、統一した方法でデータを蓄積しているが、上記変性疾患関連タンパクとの検討はまだできていない。 COVID-19による種々の制限の中、病理解剖は継続して行うことができたが、病理標本の評価等に関しては遅れがみられ、本来最終年度であったが、1年間の延長を行った。本研究による病理検索もふまえ、MM2型のCJD診断指針の提唱に関する貢献もできた(J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2020 Nov;91(11):1158-1165)。 疾患分類としては、日本のクロイツフェルト・ヤコブ病の特性を反映して、V180Iの遺伝性症例が比較的多い。この変異は、比較的高齢者にみられることが多いため、病理的に、タウやアミロイドが沈着しやすい傾向にあったが、単なる年齢によるものかどうかは検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本来、2020年度が最終であったが、COVID-19の影響もあって、業務の制限や移動の制限なども重なって、病理標本作成や、その病理診断、あるいは解析に遅れが生じたため。しかし、病理解剖自体は、パンデミックの影響を受けることもなく、むしろ新規症例数は増加したため、検討対象は増加する結果ともなり、適切に対応することが困難であり、研究の進捗が遅れたことも影響した。
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Strategy for Future Research Activity |
標本作成は、再評価の染色と遅れている染色を、研究期間を延長した2021年度前半までで、早急に終了させる。その上で、当初予定されていた病理組織標本の評価と解析を進め、目標を達成させる。COVID-19の感染は終息していないが、様々な業務の体制は確立してきていることから、研究に関しての体制も適切に遂行が可能となっている。
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Causes of Carryover |
COVID-19による種々の制限の中、病理標本の作成、評価等のための出張等が困難であり、研究の推進に関して遅れがみられ、標本作成や解析、論文の準備に至ることができなかった部分があり、そのために次年度使用額が生じた。したがって、2021年度においては、残りの標本染色を終了させるとともに、最終的な解析にはいるための物品費用、標本評価のための出張、論文投稿費用など、本来最終年度に予定していた費用として使用する。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] MM2-type sporadic Creutzfeldt-Jakob disease: new diagnostic criteria for MM2-cortical type2020
Author(s)
Hamaguchi T, Sanjo N, Ae R, Nakamura Y, Sakai K, Takao M, Murayama S, Iwasaki Y, Satoh K, Murai H, Harada M, Tsukamoto T, Mizusawa H, Yamada M.
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Journal Title
J Neurol Neurosurg Psychiatry
Volume: 91
Pages: 1158-1165
DOI
Peer Reviewed
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