2021 Fiscal Year Research-status Report
プリオンによるAβ・タウ・αシヌクレイン・TDP43の脳内沈着誘発の可能性の検討
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18K06506
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
高尾 昌樹 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 病院 臨床検査部, 部長 (50245487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美原 盤 公益財団法人脳血管研究所, その他部局等, 研究員(移行) (30190721)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プリオン / クロイツフェルト・ヤコブ病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的である、プリオン病症例の中枢神経系における神経変性疾患関連蛋白の沈着を検討する過程において、2021年度も継続して病理解剖の症例を継続して行い、病理組織標本の作成と検索を継続してきたところである。しかし、COVID-19のためもあり、病理解剖自体は継続できたものの、人的なパワー不足もあり、組織学的検討が遅延した。そのために、再度の延長を申請する結果となった。 特に、プリオン病におけるTDP-43の染色標本は概ね準備ができて検討が開始されたところである。現在のところ,CJD症例において,アミロイドベータ蛋白の沈着は,Thal phase 0 (58%),1-2(31%)、3-4(9%, 5-6(2%)であった。タウ蛋白はBraak stage 0(31%)、1-2(58%)、3-4(11%)、5-6(0%)であったことから、必ずしも高度の関連蛋白の沈着がみられるわけではない。最終年度は、データのまとめと公開にむけて準備中である。 一方、本研究の過程で、フォルマリン固定標本から。RT-QuICによるプリオンの検出を目指した研究への貢献を行うことができたことは、稀少疾患の病理解剖による組織研究の重要性と多様性を示すものである。一方、期間延長によって、日本では極めて少ないクロイツフェルト・ヤコブ病である、MV2Kや、極めて稀なMM1+MM2C+2Tといったケース、あるいはプリオン病が臨床的に否定されたものの実際はプリオン病であったケースなど重要な症例も対象に追加する機会が得られた。これらは、アミロイドベータやタウといった蛋白沈着がほとんど確認できなかった。多彩な病型を研究に組み入れることは、プリオン病の異なる表現型による違いを検討する上において重要であり、本研究の精度を上げることを可能とすることにも繋がったことは重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19の影響が持続したため、業務の制限や移動の制限なども重なって、病理解剖自体は行ったものの、病理標本作成や病理診断、あるいは解析に遅れが本年度も生じ、結果的に再度延長を行うこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
延長の結果、最終的には標本は準備ができ、順次解析もできていることから、いままで検討できていないTDP-43等の検討を行うことで、最終データが確定できる。最終年度は、前半で解析を確定の上、データ公表を後半に行うことを目指す。
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Causes of Carryover |
COVID-19による種々の制限の中、病理標本の作成、評価等のための出張等が困難であり、研究の推進に関して遅れがみられた。最終年度は前半はデータ解析、後半はデータ公表を予定し、次年度使用額は英文校正、OA費用等とする。
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Research Products
(1 results)