2019 Fiscal Year Research-status Report
熱ショック応答関連分子による筋萎縮性側索硬化症(ALS)細胞質凝集体の形成抑制
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18K06507
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
渡部 和彦 杏林大学, 保健学部, 教授 (30240477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 麻喜子 杏林大学, 保健学部, 講師 (00276205)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 運動ニューロン / TDP-43 / 筋萎縮性側索硬化症 / 凝集体 / 組換えウイルス / Praja 1 (PJA1) / 熱ショック応答 / HSF1 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋萎縮性側索硬化症 (ALS) は運動ニューロンの選択的な変性脱落により死に至る最も過酷な神経変性疾患であり,ニューロン,グリアにリン酸化TDP-43蛋白を含む細胞質凝集体が出現する.実験的には,TDP-43とそのC末断片を発現する組換えアデノウイルスをプロテアソーム阻害条件下で培養ニューロンに感染させると細胞質TDP-43凝集体が形成されるが,heat shock transcription factor 1 (HSF1) 組換えウイルスの共感染によりその凝集体形成が顕著に抑制される.我々はラット神経幹細胞株1464R由来ニューロンにTDP-43, HSF1組換えウイルスを共感染し,プロテアソーム阻害剤MG-132を負荷してDNAマイクロアレイ解析によりHSF1の下流分子群を探索したところ,その1つとしてPraja 1 RING-finger E3 ubiquitin ligase (PJA1) にTDP-43凝集体形成抑制効果を見出した.免疫沈降ではPJA1はTDP-43の主にC末断片に結合してユビキチン化し,またUBE2E3がE2結合酵素として働くことが示唆された.一方,上記TDP-43組換えウイルスを用いた成体マウス顔面神経核運動ニューロンTDP-43凝集体形成モデルでは,HSF1, PJA1組換えウイルスに顕著なTDP-43凝集体形成抑制効果がみられた.さらに,PJA1はヒト・ニューロン全般に存在し,ALSのTDP-43凝集体を有する運動ニューロンもPJA1陽性であった.以上より,PJA1はTDP-43凝集体形成を抑制する有力な因子と考えられた.今後は上記DNAマイクロアレイ解析を手がかりとしてHSF1の下流に位置する他のTDP-43凝集体抑制因子を順次同定し,ALSの新規治療法の開発に繋げていきたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1.ヒト正常および変異TDP-43またはC末断片TDP-43およびHSF1を発現する組換えアデノウイルスをプロテアソーム阻害条件下でラット神経幹細胞1464R由来分化ニューロンに感染させたところ,HSF1組換えウイルスの共感染によりTDP-43凝集体形成が顕著に抑制されることを見出した. 2.上記培養凝集体モデルについてcDNA マイクロアレイ解析を行ったところHSF1により2倍以上に発現が上昇する遺伝子は64個,HSF1による凝集体形成抑制に伴って2倍以上に発現が上昇する遺伝子は393個同定された.このうちPJA1にTDP-43凝集体形成抑制効果を見出し,PJA1がTDP-43の主にC末断片に結合してユビキチン化し,またUBE2E3がE2結合酵素として働くことが示唆された. 3.一方,その他のTDP-43凝集体抑制候補分子の網羅的な解析と絞り込みに時間を費やしており,当初予定していた動物実験の遂行にも遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きcDNA マイクロアレイ解析により得られた分子についての発現および機能解析を行い,TDP-43凝集体抑制候補分子の組換えウイルスを作製し,培養ニューロンでの効果を確認するとともに,2~3ヶ月齢ICRマウスの顔面神経にこれら組換えウイルスをTDP-43組換えウイルスとともに注入接種する.接種3日後より2週間まで経時的に灌流固定し脳幹の凍結またはパラフィン連続組織切片を作成,組換えウイルスの軸索内逆行輸送による運動ニューロンでの導入遺伝子の発現および凝集体形成を蛍光で確認するとともに免疫染色,ウェスタンブロットで解析し.成体マウス運動ニューロンに対して凝集体形成抑制効果を有する分子を確定する.一方,上記マウスモデルがヒトALS運動ニューロン病変を忠実に反映しているか否かを検討するには,ヒト剖検例との形態学的(免疫染色,電顕・免疫電顕)・生化学的(ウェスタンブロット)な比較解析が必須である.ヒトALS剖検脳・脊髄組織より上記に関するデータを可能な限り収集・解析し,上記細胞・動物モデルと比較検討することにより,凝集体形成抑制によるALSの新規治療法の開発を目指す.
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Causes of Carryover |
(理由)TDP-43凝集体抑制候補分子の網羅的な解析と絞り込みに時間を費やし,当初予定していた動物実験の遂行にも遅れが生じており,組換えウイルス作製完了に伴う培養細胞実験および大半の動物実験を次年度以降に行う必要がある. (使用計画)培養細胞実験および動物実験に必要な消耗品費(計822千円);実験動物として3-4ヶ月齢ICRマウス200匹の購入に計180千円.実験試薬および抗体購入費として計320千円.器具消耗品費として培養基材,チューブ,ピペットなどに計322千円を計上.
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Soluble iron accumulation induces microglial glutamate release in the spinal cord of sporadic amyotrophic lateral sclerosis.2020
Author(s)
Niida-Kawaguchi M, Kakita A, Noguchi N, Kazama M, Masui K, Kato Y, Yamamoto T, Sawada T, Kitagawa K, Watabe K, Shibata N.
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Journal Title
Neuropathology
Volume: 40
Pages: 152-166
DOI
Peer Reviewed
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