2019 Fiscal Year Research-status Report
CRMPをターゲットとした神経損傷・神経変性疾患治療戦略開発
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18K06511
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大島 登志男 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20311334)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 神経再生 / リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経疾患の治療が困難である大きな理由は、神経系の乏しい再生能力にある。それは、神経再生を妨げる機構の存在に原因あり、その細胞内のシグナルに関連した因子としてCRMPが注目されている。本研究では、CRMPをターゲットとした神経変性疾患治療法開発に向けて、ヒトの病態に近いモデルマウスを用いて、CRMPの遺伝子変異の効果及びLKEなどの薬剤の効果を明らかにすることを目的とする。神経損傷のモデルとしては、脊髄損傷と視神経損傷、神経変性疾患としてはパーキンソン病を取り上げた。MPTP-induced パーキンソン病モデルにおいて、CRMP4KOでドーパミン神経細胞死が抑制されることを見出し報告した(Tonouchiら J Neurochem. 2016)が、MPTP-induced パーキンソン病モデルに比べよりヒト疾患病態に近いalpha-synuclein過剰発現によるマウスモデルを用いて検証する。alpha-synuclein過剰発現 (alpha-synuclein Tg) マウスとCRMP4KOと交配し、alpha-synuclein Tgマウスとalpha-synuclein Tg; CRMP4KOマウスの病態進行を比較することにより、CRMP4欠損のパーキンソン病態への効果を評価する。脊髄損傷と視神経損傷に関しては、野生型とCRMP変異マウスへの損傷からの回復を比較して、神経損傷からの神経再生に関するCRMPの役割を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、alpha-synuclein Tgマウスを導入し、病態進行を組織学的、生化学的、行動学的方法により解析し、先行研究と比較した。また、alpha-synuclein TgマウスとCRMP4KOマウスの交配を行ない、alpha-synuclein Tg; CRMP4KOマウスの作成を開始した。また、視神経損傷に関して、野生型とCRMP変異マウスへの損傷からの回復を比較した。CRMP変異マウスとしては、CRMP2のSer522をAlaに置換したCRMP2KIマウスを用いて、神経損傷後の神経変性と神経再生に対するCRMP2のリン酸化抑制の効果を検討した。CRMP2KIマウスにおいては、Cdk5によるS522のリン酸化に加え、GSK3betaによるT518, T514, T509のリン酸化も起こらない。CRMP2KIマウスのおいては、視神経損傷後の視神経変性が抑制されること(Kinoshita et al., 2019)、視神経再生が促進されることを(Kondo et al., 2019)を見出して、論文発表を行なった。特に、後者の研究成果はプレスリリースを行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は令和1年度に導入したパーキンソン病モデルであるalpha-synuclein Tgマウスに対するCRMP4欠損の影響を検討する。具体的には、alpha-synuclein Tgとalpha-synuclein Tg; CRMP4KOマウスの病態進行を、組織学的、生化学的、行動学的手法により比較解析して、研究成果を学会活動や学術論文等を通じて公開する。
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Causes of Carryover |
翌年度分と合わせて、試薬などの消耗品として使用する。
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Research Products
(2 results)