2020 Fiscal Year Research-status Report
Developmental change in synaptic plasticity of corticomotoneuronal direct connections: Do motoneurons learn?
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18K06528
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
大野 孝恵 帝京大学, 医学部, 准教授 (60508109)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 諭 帝京大学, 医学部, 助教 (50425641)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脊髄運動ニューロン / シナプス可塑性 / 皮質脊髄路 / シナプス除去 / ホールセル記録 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、独自にが確立にした成体マウス脊髄急性スライス作製法を用いて、皮質-運動ニューロン直接結合の形成から消失過程におけるシナプス除去メカニズムを明らかにすると共に、脊髄運動ニューロンの可塑性について解明する事である。 初年度には、1) 前腕筋支配運動ニューロンよりホールセル記録を行い、皮質脊髄軸索とのシナプス形成からその除去に至る過程を継時的に観察し、生後6-8日齢にかけてシナプス結合は強まり、10-13日齢でプラトーになり、14日例以降でシナプス除去が始まり21日例以降には完全に消失する事を示し、2018年度神経科学学会にて報告した。また、2) 前腕筋支配運動ニューロン以外の脊髄運動ニューロンにも皮質からの直接結合があること確認した上で、手指筋,前腕筋,上腕筋,上肢帯筋及び傍脊柱筋支配運動ニューロンでその結合頻度を比較したところ、霊長類類似の遠位筋優位の結合頻度の差がある事がわかり、同神経科学学会にて報告。2019年度には、シナプス除去過程をより詳細に確認し、2019年度北米神経科学学会にて報告。その上で、3) シナプス可塑性の変化も観察し、シナプス除去に先行するLTPの減少とLTDの出現を確認し、paired pulse刺激の結果から可塑性の変化はpostの現象と考えられ、運動神経細胞にも可塑性がある事を示した。また 4) Grin2B-floxマウスを用いて運動ニューロン特異的にGluN2Bをノックアウトすると、運動ニューロンからのシナプス除去が阻害された事から、本シナプス除去過程への活動依存性の関与が示唆された。2020年度には、活動依存性に加え遺伝的要因の関与についても確認すべく、Sema6Dノックアウトを用いたシナプス除去過程の継時的解析を始めると同時に、シナプス除去メカニズムをさらに詳細に解析すべくquantal studyを開始し、本年度も継続中。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由 申請書の予定通り、1) 皮質-運動ニューロン直接結合(単シナプス)が形成され除去されるまでの日齢を正確にとらえる、2) 前腕筋支配運動ニューロン以外の脊髄運動ニューロンにも皮質からの直接結合がある事を確認した上で、霊長類類似の支配筋による入力頻度の差があるのか否かを、手指筋,前腕筋,上腕筋,上肢帯筋及び傍脊柱筋支配運動ニューロンで比較する、3) 皮質運動ニューロンシナプスにおけるシナプス除去に伴って見られるシナプス応答の変化をとらえる、4) 運動ニューロン特異的にGluN2Bをノックアウトし、2Bの消失により運動ニューロンからのシナプス除去が阻害されるか否かを確認してシナプス除去過程の活動依存性を示す、の4項目は、上記研究実績の概略に記載した様に現時点までに概ね研究結果を出せており、国内外の学会にて報告済みである。項目4) では、既に運動ニューロンよりGluN2Bをノックアウトするとシナプス除去が阻害される事から、本シナプス除去過程が少なくとも部分的には活動依存的過程であることを明らかにしているが、この結果報告は、Sama6Dノックアウトを用いた同様の実験を加えることにより、本シナプス除去過程の遺伝学的要素の有無を確認する実験結果と合わせて報告する予定である。また、シナプス除去過程を電気生理学的により詳細に分析するためのquantal studyを、近日中に開始する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、Sema6Dノックアウトマウスにて皮質運動ニューロン直接結合のシナプス除去が阻害されるか否かの実験結果を確実なものにするため、コントロール群では直接結合が完全に無くなる生後3週齢以降7週齢までの結合頻度を、野生型ならびに2Bノックアウトと合わせて再検討し、個体数を追加する。また、齧歯類に見られる一過性の皮質運動ニューロン直接結合の継時的変化と除去メカニズムを明らかにした上で、高等霊長類同様に直接結合が生涯残るマウスに対し、従来ある他の運動下行路(赤核脊髄路や網様体脊髄路など)がどうなっているのか解剖学的に確認するとともに、行動実験を行い、生得的運動ならびに習得的運動能力が変化していないかどうか確認する。その上で、一過性皮質運動ニューロン直接結合の存在意義に付いて検討したい。 また、上記研究と並行して野生型マウスにてシナプス除去過程におけるquantal studyを行い、シナプス前終末での変化とシナプス後細胞における変化が、どのようなバランスとタイミングでシナプス除去過程に関与しているのかを検討する。
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Causes of Carryover |
研究結果をより確実なものにするため、実験を追加し、2021年度も継続する。 本課題を継続するにあたり、2021年度以降に使用予定の実験動物ならびに各種試薬の等消耗品、更には、追加で必要な機器の購入のため、次年度使用額は必須なものである。なお、2020度以降は遺伝子改変動物を用いた実験がメインになっており、2系統の遺伝子改変マウスの繁殖ならびに維持の為にかなりの出費が必要である。
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Research Products
(4 results)