2018 Fiscal Year Research-status Report
Optical analysis of functional development of olfaction-taste interaction in the embryonic brain
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18K06530
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Research Institution | Komazawa Women's University |
Principal Investigator |
佐藤 勝重 駒沢女子大学, 人間健康学部, 教授 (80291342)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 膜電位感受性色素 / 光学イメージング / 機能発生 / 機能構築 / 胎生神経系 / 嗅神経 / 嗅覚回路網 / 発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球上の生物は、安全に食物を摂取するために、嗅覚や味覚、視覚など様々な感覚機能を駆使し、食物になりうる物質の品質を評価し、目の前にある物質が摂取可能な物であるか否かを判断している。このような能力は成体に限られた能力ではなく、一般に生物は、生後まもない時期から口に入れたものが、自分にとって好ましいものであるか否かを識別する能力を未熟ながら備えている。これは、様々な感覚情報を処理する神経回路網が、出生時にはすでにある程度発達していることを示唆している。では、こうした食物の品質を評価する能力は、個体発生過程でどのようにして形成されるのだろうか? 本研究は、個体発生、特に胎生期における感覚統合機能の発生/発達過程を解明する目的で、嗅覚系と味覚系に焦点をあて、研究方法として①膜電位感受性色素を用いたニューロン電位活動の光学的イメージング法による機能マッピングと、②カーボシアニン系蛍光色素やrhodamine dextranを用いた形態マッピングを駆使し、得られたデータの比較から、まず、(1)嗅覚および味覚の神経回路網の機能発生/構築過程のプロフィルを明らかにし、(2)嗅覚と味覚の感覚情報の統合処理機構が、個体発生過程でどのようにして形成されていくのか、を解明することを目的として企画された。 平成30年度は、脳神経の電気刺激により中枢神経系に誘発される光学シグナルの解析を中心に研究を進めた。具体的には、まず、さまざまな発生段階の鶏胚を用いて実験を行ない、基本データを得た。嗅神経-嗅球-大脳標本を膜電位感受性色素NK2761で染色し、嗅神経を吸引電極で刺激し、大脳内で応答領域の同定を行った。光学的シグナルの波形解析から、大脳内におけるニューロンの活動電位、興奮性シナプス後電位、抑制性シナプス後電位を分離することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、個体発生過程、特に胎生期の嗅覚および味覚神経回路網に焦点をあて、①膜電位感受性色素を用いた神経活動の光学的イメージング法による機能的マッピングと、②カーボシアニン系蛍光色素やrhodamine dextranを用いた形態的マッピングとの比較から、嗅覚及び味覚神経回路網の機能発生・構築過程のプロフィル、嗅覚と味覚の感覚統合の機構の発生発達過程を明らかにすることを第一義の目的としている。本年度はその第一歩として、大脳半球における嗅覚神経回路網発達の基本データを取ることに成功した。実験計画は、現在のところほぼ順調に進んでおり、今後の研究遂行の上での問題点は今のところ見当たらない。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、さまざまな発生段階の鶏胚を用いて実験を行ない、基本データを得る。それを元にラット/マウス胎仔で解析を進める。 (1)大脳における嗅神経(N.I)の神経回路網の解析: 「N.I-嗅球-大脳標本」を膜電位感受性色素NK2761で染色し、嗅神経を吸引電極で刺激し、大脳内で応答領域の同定を行う。初期胚脳幹は光透過性がよいので、顕微鏡の焦点面をz軸方向に移動させて"optical sectioning"を行うことにより、光学的三次元機能マッピングを行う(我々は、すでに鶏胚の舌咽/迷走神経関連核においてこのoptical sectioning法の有用性を実証済みである)。さらに、光学的シグナルの波形解析から、大脳内におけるニューロンの活動電位、興奮性シナプス後電位、抑制性シナプス後電位を分離し、これをさまざまな発生段階の標本を用いて行い、その機能発生・構築過程を調べる。 (2)トレーサーを用いた形態学的観察: (1)で用いた標本をトレーサーで染色して形態学的観察を行い、機能マッピングの結果と比較して、嗅覚回路網を構成する神経核の同定を行う。 (3)疎水性膜電位感受性色素による測定: 疎水性膜電位感受性色素で嗅神経末端や特定の神経核だけを染色し、嗅球や大脳におけるシナプス前応答を独立して記録する。得られた結果を、(1)の結果と比較し、興奮性および抑制性シナプス応答の詳細な分析を試みる。 (4)ラット/マウス胎仔を用いた実験: 以上の項目に関して、ラット/マウス胎仔を用いて同様の実験を行う。得られたデータを鶏胚での結果と比較し、種による違いを明らかにする。 さらに同様の実験を味覚神経系についても解析をすすめ、その機能発生・構築過程を明らかにする。
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Causes of Carryover |
(理由) 英文原著論文の掲載代金が平成31年度払いとなったため。 (使用計画) 英文原著論文の掲載代として使用する。その残額については、平成31年度の予算と合算して、実験動物や神経伝達物質の拮抗薬の購入に用いる。
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Research Products
(10 results)