2019 Fiscal Year Research-status Report
Real-time imaging of hippocampal network dynamics and memory formation regulated by respiration using optogenetic manipulation
Project/Area Number |
18K06533
|
Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
中村 望 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (50450961)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 呼吸 / 記憶 / 認知 / 光操作 / 光遺伝学 / AAV接種 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、呼吸と認知パフォーマンスの関係を明らかにするために、動物を用いて呼吸が認知機能を制御するメカニズムについて細胞レベルで解明することを目的とし、以下の3点をテーマとした:1)呼吸計測下での恐怖記憶課題を用いて、記憶想起プロセスと呼吸パターンの関係を脳活動部位より明らかにする;2)光遺伝学的手法を用いて、呼吸を統制する方法を確立する;3)ファイバー顕微内視鏡を用いて、in vivo覚醒マウスの神経活動をリアルタイムイメージング法を確立する。1)2019年度では、記憶想起プロセスを確認すべく、Fos, Arc, H1aなどの最初期遺伝子イメージングCatFISH法を用いてスクリーニングし海馬や大脳皮質活動を可視化する手法を確立した。2)トランスジェニックマウスに組換えAAVを摂取し光操作を行ったとき、呼吸頻度を強制的に変えることができた。しかしながら、これはin vivoマウス麻酔下の数例のみであり、さらなる改善が必要である。ここで用いるトランスジェニックマウスとは、小胞型GABAトランスポーターにCreを発現させたマウスであり、Cre-LoxPシステムを用いて、脳の領域特異的な部位、ここでは呼吸中枢に光感受性遺伝子ChR2のdouble floxedタイプを有する遺伝子組換えアデノ随伴ウイルスAAVを接種することで、抑制性ニューロンの活動を光操作で制御することを可能にする。今後は、組換えAAVの濃度や接種量またLED強度を考慮しながら、より効果的な呼吸活動の制御方法について検討していく。3)ファイバー顕微内視鏡イメージングの確立までには至っていない。この系では細胞外記録またはLFPなどの神経細胞活動の同時計測が必須となり、現在、共同研究者の古江秀昌教授とともに、青斑核におけるファイバー顕微内視鏡イメージングと細胞外記録の同時計測の確立に取り組んでいる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2)について、2019年度は計画通り取り組み、AAV接種実験および光操作のためのLED光源カニューレの設置などの方法を確立した。光遺伝学による呼吸制御に関しては、覚醒下ではなく麻酔下であったが、光操作によって実際に呼吸頻度を調節することができ、当初の計画通り、順調に進展している。1)の動物行動実験よる記憶想起プロセスと呼吸パターンについては、記憶想起プロセスを確認するための最初期遺伝子イメージングCatFISH法の確立、特にFos, Arc, H1aのプラスミドの作成および確認に時間を費やしてしまった。また、マウス13匹分の呼吸同時計測の行動実験は終了しているものの、脳切片の作成およびCatFISH法の実施、蛍光画像の獲得、データ解析等、今後やるべきことが多々あり、これまでの研究実績を充分に生かすことができるものの、研究の進展にやや遅れがでている。3)に関しては、1)と2)に時間を費やしてしまったため、やや遅れがでている。ファイバー顕微内視鏡を用いた神経細胞のカルシウム応答の観察について成功していない。今後は、3)を中心に実験に取り組む予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)呼吸の同時計測下で行動実験はすでに終了し、マウス13匹分の凍結脳を保持している。2020年度は、すでに確立している研究アプローチに沿って、凍結切片を作成し、海馬や帯状皮質などの関心領域におけるCatFISHを実施し、蛍光画像の獲得およびデータ解析を行う。これにより、記憶想起プロセスとそうでないプロセスの脳活動をスクリーニングし比較することで、記憶想起と呼吸と脳活動の関係を明らかにしていく。 2)Creマウスの飼育・繁殖を維持しながら、随時、脳局所にAAV接種を行ったのちに光操作実験を行っていく予定である。2020年度はさらに光操作の精度を高めて、ほぼ確実に光操作により呼吸制御ができるようにする。そして、次の段階として3)の実験と融合させ、光操作による呼吸制御を行いながら、in vivoマウスの麻酔下でのカルシウムイメージングまたは細胞外記録を行う。 3)細胞外記録の重要性から、2020年度は、青斑核の細胞外記録の手法を共同研究者の古江秀昌教授のサポートのもと確立する。例え、ファイバー顕微内視鏡によるカルシウムイメージング法のみが単独で確立しデータ獲得ができたとしても、論文の査読審査の時点で、細胞外記録またはLTPの同時計測の必要性を問われるからである。その次の段階で、ファイバー顕微内視鏡を使用するための蛍光強度、さらにはファイバー径のサイズや研磨方法等の条件設定を行っていく。そして、in vivoマウスを用いたカルシウムイメージングを行いながら細胞外記録の同時計測を行い、神経活動との関係を明らかにしていく予定である。
|
Causes of Carryover |
当該年度はほぼ計画通り使用したが、15,111円の差額が生じた。この差額分は、次年度消耗品として使用する計画である。
|