2019 Fiscal Year Research-status Report
Reelinによるゴルジ体構造制御が脳神経系の動的恒常性維持に果たす役割
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18K06543
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Research Institution | Institute for Developmental Research Aichi Developmental Disability Center |
Principal Investigator |
松木 亨 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 細胞病態研究部, 主任研究員 (90332329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 敦雄 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 細胞病態研究部, 部長 (50227964)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Reelin / GM130 / ゴルジ体 / PKC |
Outline of Annual Research Achievements |
Reelinシグナルに応答して変化するゴルジ体構造の鍵となる現象の一つが、GM130のリン酸化であり、特にSer20とThr561のリン酸化はそれぞれPKCの別のアイソフォームによって引き起こされるが、それぞれのリン酸化アミノ酸を認識するマウスモノクローナル抗体を作製した。特に初代培養神経細胞では、Reelin刺激に応答してThr561がリン酸化を受ける事が分かった。 現在、共同研究先の協力を得てCrispr/Cas9によるゲノム編集技術を利用し、上記のGM130のミュータントマウスを作製中である。また、リン酸化を担うPKCのアイソフォームを時期特異的に欠損させるためのPKC floxマウスについてもゲノム編集により作製を進めている。特に、2-photon顕微鏡を用いてゴルジ体の構造変化を観察できるように、ゴルジ体を可視化できるマウス(CAG-B4GalT1-tdTomato)の作製も進めている。 一方で、神経細胞におけるゴルジ体構造制御においてReelinシグナルと拮抗するStk25の役割として、Rac1の活性化とRhoAの分解を同時に制御している事を明らかにした。これらはStk25が属するファミリーの一員でもある、MST3によって役割を代償されることも分かった。そのため、これらStk25シグナルについてもReelinシグナルと関連してゴルジ体構造制御に関与する事が示唆された。 上記の知見およびこれまでに得られた、また、得られる予定の研究ツールを組み合わせる事で本研究の目指す成果の実現が期待出来る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Crispr/Cas9を用いたゲノム編集技術を活用した遺伝子改変マウスの作製に当初想定していた時間より進捗が遅れているため。 また、研究期間内中に所属施設が新築建屋へ移設する事になり、研究再開まで想定より大幅に時間が掛かったため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進めている遺伝子改変マウス作製が本研究の鍵であると共に律速となっているため、いち早くマウスの作製を完了させ、解析に持っていく。 同時に、初代培養神経細胞を用いて出来る解析として、当初の計画では予定していなかったが、Cas9発現AAVを利用してPKCサブタイプ特異的ノックアウト神経細胞によるゴルジ体構造の解析を進めて行く。Reelinシグナルによるゴルジ体構造変化の影響を完全にシャットアウトできるこの系を用いて、in vitroにおけるシグナル経路の詳細を解明し、in vivoにおけるゴルジ体の動態解析とリンクできるように進めて行く。
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Causes of Carryover |
初年度から次年度(令和元年度)に掛けて、所属施設の建築完了に伴う移転作業があり、当該研究に必要なマウスの飼育の中断と再利用までに相当の時間を要し、研究の遂行が著しく遅れた。それに付随して予定していた各実験に必要な資金の使用予定も遅れたため、使用額に当初計画との齟齬が生じている。最終年度は、これまでの遅れを取り戻すため、計画している実験について精力的に進めて行く。
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Research Products
(2 results)