2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of regioselective sp3 C-H functionalization catalyst with substrate recognition site
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18K06545
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
生長 幸之助 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 講師 (00583999)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 有機合成化学 / C-H活性化 / 有機ラジカル / 化学選択性 / 均一系触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルコール認識を介したC(sp3)-Hシアノ化反応の開発に取り組んだ。具体的にはトリフルオロメチルケトン部位、ホウ素部位、水素結合部位などを備えた水素移動(HAT)触媒を設計・合成し、原著論文の形で報告している(Chem. Eur. J. 2018, 24, 8051、Chem. Commun., 2018, 54, 3215)条件に基づき、条件最適化を行なった。 リン酸触媒の場合は残念ながら、アルコールと相互作用することでHAT触媒活性が大きく減弱することが明らかとなった。このため、活用を断念した。 スルホンアミド触媒の場合は、トリフルオロメチルケトンの結合位置を適切に選ぶことでシクロヘキセンに対するHAT触媒活性が保たれることを確認した。しかしながら想定したアルコール認識を介する位置選択性発現を見いだすことは現在までに出来ていない。 アルコール認識部位としてのホウ素を用いた検討を行なう過程で、ヒドロキシル基α位での反応が確認された。計算化学による解析の結果、ボレート形成によってアルコールα位C-H結合エネルギーの弱化が生じ、これが反応促進に寄与しているとの洞察を得ることが出来た。この発見をもとに、アルコールα位C-H官能基化反応を促進させるボリン酸-HATハイブリッド触媒系の同定に至った。現在は化学選択性の向上を目指した検討を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた遠隔位C-H結合活性化反応の開発は上手く進んでいないが、この過程でボレート系性によるC-H結合弱化という新規触媒設計概念を見いだすことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
検討過程で見いだされた新概念「ボレート形成によるアルコールα位C-H結合弱化現象」は、新たな考え方に基づく化学選択的触媒設計に繋がることが期待できた。現在はこちらの検討に注力し、一刻も早く論文化を目指す予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた消耗品費・旅費は別経費で賄うことが出来た。次年度さらなる研究加速のために使用したい。 引き続き、実験に必要な消耗品費や学会/打ち合わせなどの旅費を主要な使途として計上したい。
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Research Products
(35 results)