2019 Fiscal Year Research-status Report
小胞体ストレスによる肥満形成のエピジェネティックによる制御機構解明と創薬
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18K06549
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小澤 孝一郎 広島大学, 医系科学研究科(薬), 教授 (10211822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細井 徹 広島大学, 医系科学研究科(薬), 准教授 (40379889)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | レプチン |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満は、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病の主要な危険因子であり、肥満の発症機構解明は、予防医学の観点からも重要な課題と考えられる。肥満は、環境因子と遺伝的因子が複雑に組み合わさって生じる疾患と考えられているが、その詳細なメカニズムに関しては不明な点が多く残されている。肥満に関わるタンパク質において、抗肥満因子として1994年に同定されたレプチンが知られている。一方、肥満者においてはレプチンが効きにくい状態、すなわちレプチン抵抗性の状態であることが知られており、レプチン抵抗性のメカニズムの解明が課題となっている。私たちは現在までに、ホモシステインが小胞体ストレスを誘導し、レプチン抵抗性に関わる可能性を示してきた。ホモシステインは活性化メチル化サイクルによってアデノシンと共に生じ、DNAのエピジェネティックな制御にも関わることから、本研究ではホモシステインやアデノシンによるエピジェネティックな機構を介したレプチン抵抗性形成の可能性を検証した。まず、昨年度に引き続き、アデノシンによるレプチン抵抗性形成機構解明を目的として、アデノシン結合タンパク質をアデノシンと磁気性ビーズを結合させたアデノシンビーズを用いた同定を試みた。検討の結果、いくつかの結合候補因子の中で、アデノシンとの競合阻害実験でポジティブな結果が得られ、アデノシンとの結合特異性があると思われる因子を1-2個絞り込むことができた。さらにこれらの因子をノックダウンした細胞におけるレプチンシグナルについても検討したところ、ノックダウンによってレプチンシグナルに変化が認められ、これらの因子がアデノシンによるレプチン抵抗性に関わる因子である可能性が示唆された。現在、アデノシンの効果に加え、ホモシステイン等によるレプチン抵抗性さらにはエピジェネティックな影響の関与について予備検討をしており、来年度の研究につなげたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、予定していた計画と予想通りの結果が得られたため、順調に進んだと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
同定したアデノシンと結合する候補因子に関して、競合阻害実験やノックダウン実験によって証明できたことより、アデノシンとその結合タンパク質によるレプチン抵抗性の関与へのエビデンスが蓄積しつつある。本検討結果をもとに、さらに解析を進め、アデノシンさらにはホモシステインによるレプチン抵抗性形成機構の解明を進める予定である。
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Causes of Carryover |
試薬等の購入時期が若干ずれたため次年度使用額が生じた。研究計画に大きな変更や遅れもなく、次年度も引き続き、計画通り研究を実施する予定である。
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Research Products
(3 results)