2020 Fiscal Year Research-status Report
Dramatic synergistic effect by the combination of a "rigid" chiral bicyclic skeleton with steric bulkiness and a "flexible" achiral linker for the development of highly effective asymmetric synthesis
Project/Area Number |
18K06550
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
松永 浩文 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 教授 (10274713)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 不斉触媒 / 配座固定 / 側鎖 / 不斉有機触媒 / リンカー / 不斉Michael反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、汎用性と実用性の高い省資源・省エネルギー型不斉触媒の創製を目的として、配座固定「堅い」母核と「柔らかい」側鎖との組み合わせを利用し、低触媒量で高効率・高立体選択的な不斉合成を可能にし得る、汎用性と実用性に優れた新規不斉触媒の開発を行なっている。 令和2年度は、令和元年度までに得られた知見等を踏まえ、配座固定「堅い」cis-1,2-ジアミン母核に「柔らかい」リンカーを導入した二官能性化合物を有機分子触媒として利用した不斉Michael反応における反応基質の適用性の拡大について、その適用範囲と特徴についてより的確に把握することを目的として種々検討を行なった。 1)構造上の特徴を有す様々なニトロオレフィンをはじめとする各種Michaelアクセプターとマロン酸エステルとの反応性について検討し、環状ニトロオレフィンでは中程度の化学収率及び90%e.e.近いエナンチオ選択性を示したが、第四級炭素が生成するようなニトロオレフィン類では低い反応活性を示すのみであった。 2)チオウレア部位を他の水素結合形成型官能基に変更若しくはリンカー部の自由度を変更した化合物についてその触媒活性能を検討したが、前年度その高い反応活性並びにエナンチオ選択性が認められたアクリル酸誘導体を除き優れた触媒活性を示す化合物は認められなかった。 以上のように令和2年度では大きな成果は得られなかったものの、これら知見は本触媒系におけるより高活性な分子構築に向けて極めて有望な情報である。今後はより一層の触媒構造の最適化並びに様々な反応系及び反応基質への適用を図る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は本申請課題の最終年度として、前年度までに得られた知見を基に、その適用範囲と特徴についてより的確に把握すると共に、その応用展開を検討することを方策として定めていた。しかし、令和元年度末から令和2年度にかけて大流行となったCOVID-19禍対策として、オンライン授業の構築やカリキュラム内容の大幅見直し・対応等に多くの時間を費やすこととなり、結果当初計画を満足に遂行することができずに事業期間の延長を申し出るに至った。 令和3年度は未だコロナ禍の影響はあるものの研究に取り組める環境はある程度は整ったので当初の予定遂行に向けて鋭意努力する。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のようにコロナ禍の影響により最終年度を延長したものの、令和3年度は当初の最終年度の予定通り、配座固定「堅い」cis-1,2-ジアミン母核に「柔らかい」リンカーを導入した二官能性化合物を有機分子触媒として利用した不斉Michael反応における反応基質の適用性の拡大について、昨年度までに得られた知見を基に、その適用範囲と特徴についてより的確に把握すると共に、その応用展開を検討する。即ち、1) 構造上の特徴を有す様々なニトロオレフィンをはじめとする各種Michaelアクセプター及びドナーについて検討し、その反応性や選択性の特徴について精査する。2) 他官能基の導入やリンカー部の自由度もしくは電子状態の制御による反応性・選択性への影響を検討し、より触媒活性の高い有機分子触媒の創生を目指す。3) 前述の方法論を他の代表的炭素-炭素結合生成反応に適用、反応活性やエナンチオ選択性など本触媒系の汎用性を確認する。4) 本触媒反応系について得られた知見を基に、医薬品候補化合物等合成への適用・展開について検討する。5)本反応系の反応中間体若しくは遷移状態における有機分子触媒の反応性及び立体選択性に及ぼす効果について計算化学的手法により推測・解明を行う。更には、6)本有機分子触媒系を真に実用的な触媒系に進化させることを目的とし、本有機触媒の高分子固定化の検討を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)前述の通り、令和元年度末から令和2年度にかけて大流行となったCOVID-19禍対策として、オンライン授業の構築やカリキュラム内容の大幅見直し・対応等に多くの時間を費やすこととなり、結果当初計画を満足に遂行することができなかった。更に、COVID-19禍に伴い、出張・参加を予定していた薬各種学会・シンポジウムが相次いで中止になり、必要経費として計上していた出張・参加費がそのまま余ることとなった。 (使用計画)これまでの研究結果をもとにより一層研究を展開していくため、研究費は主に試薬や溶媒類、ガラス器具や研究に付随する消耗品の購入に充当する。また、COVID-19対策のため今年度の学会開催形式がどのようになるのか現時点では不明であるが、国内学会の参加費等に充当する。
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