2018 Fiscal Year Research-status Report
薬剤耐性の克服を目指した新規抗HIV性ヌクレオシドの合成と核酸医薬への展開
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18K06552
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
吉村 祐一 東北医科薬科大学, 薬学部, 教授 (00230813)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヌクレオシド |
Outline of Annual Research Achievements |
はじめに、4'-置換4'-チオヌクレオシド合成について検討を行った。L-アラビノースを出発原料とし、5-チオピラノシド誘導体を合成し、3,4位をアセタールで保護した。得られたアセタール体の2位をメシル化後、ホルムアルデヒドと炭酸カリウムと処理することで縮環とアルドール反応を同時に行った。同反応終了後、さらに水素化ホウ素ナトリウムで処理し、目的とする4-ヒドロキシメチル-4-チオリボース誘導体を得た。縮環/アルドール反応の再現性が乏しかった点については、条件の最適化を行い、最終的に加える炭酸カリウムの量を3等量に増やし、反応時間を延長することによりアセタール体から75%の収率で目的物を得ることが出来た。生じたジオール部を保護し酸化によりスルホキシド体へ誘導した後、当研究室で開発したPummerer型チオグリコシル化反応に付したところ、目的とする4'-チオヌクレオシド誘導体を良好な収率で得ることができ、そのアノマー生成比はβ:α= 1.8:1であった。Pummerer型チオグリコシル化反応の立体選択性の改善を目指し、2,3位のアセタール保護をイソプロピリデンからペンチリデンに変更したスルホキシド誘導体を合成した。同誘導体のPummerer型チオグリコシル化反応により、目的とする4'-チオヌクレオシド誘導体が収率77%、β:α= 5:1で得られ、立体選択性の改善に成功した。 第2のプロジェクトである、5'-チオピラノヌクレオシドの合成について、糖部となるジヒドロピラン誘導体の合成に着手した。チオ酢酸エチルとアセトキシブタジエンのヘテロDiels-Alder反応と引き続く還元反応とジオール部の保護を行い、目的とするジヒドロピラン誘導体を合成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、予定していた4'-置換4'-チオヌクレオシドの合成を達成することが出来た。また、5'-チオピラノヌクレオシドに関してもヘテロDiels-Alder反応による原料合成の目途を付けることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
4’-置換4’-チオヌクレオシド合成の鍵段階のひとつであるPummerer型チオグリコシル化反応により得られる合成中間体から、糖部ヒドロキシ基の選択的保護、さらに4'位ヒドキシメチル基のトシル化と引き続く環化反応により、最終目的物の合成を目指す。一方、5'-チオピラノヌクレオシドについては、得られた中間体を次の反応の基質となるスルホキシド体へ変換し、Pummerer型チオグリコシル化反応の条件を検討する。
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Causes of Carryover |
当初予定していたエバポレーターの購入について、交換を予定していた機材が、まだ使用可能と判断されたため、交換時期を先送りしたため。
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