2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel derivatives of imino sugar and thio sugar for drug discovery
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18K06553
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
名取 良浩 東北医科薬科大学, 薬学部, 助教 (50584455)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イミノ糖 / チオ糖 / 酵素阻害活性 / 複素環化合物 / ピペリジン環 |
Outline of Annual Research Achievements |
窒素原子を含む糖誘導体に関する研究として、1) 2'位アミノ化したウリジンの分子有機触媒としての機能、および2) 糖の環内部に窒素原子をもつピラノース誘導体の合成研究を行った。なお、本研究課題で得られた結果を学会で5回発表した。 1) 2'位アミノ化したウリジンの分子有機触媒としての機能について ウリジンは、糖部であるリボースに核酸塩基部であるウラシルが結合した構造のヌクレオシドである。リボースの2'位を水酸基からアミノ基に置換した2’-アミノウリジンを合成した。さらに、リボース部や核酸塩基部に修飾を施した誘導体をデザイン・合成し、不斉Diels-Alder反応における有機分子触媒としての機能について検討を行った。元来、ヌクレオシドは、触媒活性に必要な官能基が乏しいため、有機分子触媒として利用された例は、ほとんど報告されていない。本研究では、糖部の2'位に窒素原子を導入することで有機分子触媒としての機能が発現することを見出した。現在、Ahead of Printの状態であるが、論文タイトル「Synthesis of 2′-aminouridine derivatives as an organocatalyst for Diels-Alder reaction」として雑誌 Nucleosides Nucleotides Nucleic Acidsにて発表できた。 2) 糖の環内部に窒素原子をもつピラノース誘導体の合成研究について 糖の環内部に窒素原子をもつピラノース誘導体の合成研究は、エピセレニウムイオンを経る分子内環化反応を鍵工程とするものである。これまでに2,3,6位に置換基をもつピペリジン誘導体の構築が可能であったことを報告した。研究の結果、環化生成物のフェニルセレニル基を水酸基に変換することができたため、今後、天然物のアルカロイドと新規イミノ糖の合成を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように、窒素原子を導入した糖類に関しては、1) 2'位アミノ化したウリジンの分子有機触媒としての機能について論文として発表できた。さらに2) 糖の環内部に窒素原子をもつピラノース誘導体の合成研究についても、環化生成物から標的化合物の変換が可能であると考えている。以下にその理由を述べる。 分子内の適切な位置に二重結合とヘテロ原子をもつ基質を用いて酸触媒存在下、ジフェニルジセレニド、超原子価ヨウ素と反応させることで環化体が得られた。反応の中間体として二重結合が活性化されたエピセレニウムイオンが推定されており、エピセレニウムイオンにヘテロ原子が求核攻撃することで環化体が得られたものと考えている。本反応を用いてこれまでに2位にメチル基、3位に保護された水酸基、6位にフェニルセレニルメチル基が置換したピペリジン誘導体の立体選択的な構築に成功した。6位のフェニルセレニルメチル基を脱離させ、エキソオレフィンをもつ2-メチレンピペリジン誘導体とした後、9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナンによるヒドロホウ素化を行うことで、有機ホウ素化合物を立体選択的に合成できた。有機ホウ素化合物を中間体として、1)鈴木-宮浦カップリングによる炭素鎖の導入および2)過酸化水素を用いた水酸基の導入を行う予定である。 1)鈴木-宮浦カップリングによる炭素鎖の導入を行った場合、様々なピペリジンアルカロイドの合成が可能となる。さらに、2)過酸化水素を用いた水酸基の導入を経ることで、イミノピラノース誘導体の合成が可能と考えている。 さらに、本環化反応に関して硫黄原子を含んだ基質でも同様の反応が進行するか検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況で述べた通り、新規複素環の構築法の開発研究を行った。本反応を鍵反応として、ピペリジンアルカロイドやイミノ糖の合成を検討する予定である。さらに本反応は、含窒素複素環のみならず、含硫黄複素環の構築にも適用可能と考えられるため、同様の手法を用いたチオ糖の合成を検討する予定である。 しかし、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行のため、試薬や溶媒などの消耗品の入手に影響を及ぼしつつある。今後は、これまでと同様の環境で研究を進めることが困難と予想している。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が無いため、記入しない。
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Research Products
(7 results)