2018 Fiscal Year Research-status Report
Elongation of half-life time of vitamin D receptor ligands: acquisition of metabolic resistance and development of selective inhibitors against inactivation enzyme of vitamin D
Project/Area Number |
18K06556
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
橘高 敦史 帝京大学, 薬学部, 教授 (00214833)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 真史 帝京大学, 薬学部, 講師 (50386611)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ビタミンD / ビタミンD受容体 / ビタミンD誘導体合成 / フッ素化化合物 / 代謝安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では第一に、優れた骨形成作用および制がん作用を有する新規活性型ビタミンD3誘導体をビタミンD3の特異的な不活性化酵素CYP24A1に対する代謝抵抗性獲得の観点からそれぞれ見出すことを目的としている。第二に、CYP24A1選択的阻害剤を設計・合成する。 第一の目的に対し、我々が見出した骨形成作用の強いAH-1と制がん作用の強いMART-10のCYP24A1酸化反応点に段階的にフッ素原子を導入し、酸化的代謝不活性化を防止する。また、これまでの知見から、AH-1のように代謝産物においても有効な生物活性を維持する活性物質の合成を行う。 MART-10とAH-1のCYP24A1酸化反応点であるCD環側鎖上の23位、24位、26位に段階的にフッ素原子を効率よく導入し、生物学的半減期を大幅に延ばしたMART-10-FsおよびAH-1-Fsを開発する。これらは共通の側鎖であり、MART-10のA環とAH-1のA環とを今回新たに開発する側鎖と結合させることにより、生物活性をもつ類縁体数は倍になる。今年度の実験は、26位と27位へのヘキサフルオロ化から始め、取扱い困難なトリフルオロアセトンを使用する現状の方法とは異なる新規合成経路を開発し、CD環側鎖への6つのフッ素原子導入に成功し、論文発表に至った。次に、23位のモノ水酸化に成功し、本年度内に論文発表に至り、続いて本化合物を基質として立体選択的に23位に一つだけフッ素原子をもつ、新規誘導体の合成に成功した。フッ素原子の導入された23位の立体化学によって、ヒトCYP24A1に対する代謝速度が異なることが判明した。現在、論文投稿して審査中である。 また、24位へのフッ素原子の導入については、立体選択的な24位水酸化の方法を見出したので、そのフッ素化を検討中である。 一方、第二の目的であるヒトCYP24A1阻害剤開発は、アゾール類含有ビタミンD誘導体を合成し、活性を検討中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記第一の課題に関しては順調に進んでいる。現在、医薬品として用いられているファレカルシトールの側鎖部分の改良合成法となる方法を見出して、論文発表した。CYP24A1代謝に抵抗性を獲得すべく26位と27位がトリフルオロメチル基に変換された薬物である。 F. Kawagoe, T. Sugiyama, M. Uesugi, A. Kittaka. Recent developments for introducing a hexafluoroisopropanol unit into the Vitamin D side chain. J. Steroid Biochem. Mol. Biol. 177 (2018) 250-254. 次に、23位に立体選択的に一つのフッ素原子を導入するため、23位の立体選択的な水酸化に成功し、論文発表に至った。 F. Kawagoe, T. Sugiyama, K. Yasuda, M. Uesugi, T. Sakaki, A. Kittaka. Concise synthesis of 23-hydroxylated vitamin D3 metabolites. J. Steroid Biochem. Mol. Biol. 186 (2019) 161-168. 本手法をもとに、23位モノフッ素化にも成功し、現在論文投稿中である。 第二の課題について、AH-1やAH-1の19ノル化した化合物について、アゾール基を導入した化合物を種々合成しており、引き続きCYP24A1阻害活性の有無を調査する。
|
Strategy for Future Research Activity |
第一の課題のフッ素原子の導入について、残るは24位であるが、24位への立体選択的な水酸化にはすでに成功しているので、その化合物を基盤にフッ素原子への変換は順調に進むと思われる。以上により、生物学的半減期を大幅に延ばしたMART-10-FsおよびAH-1-Fsを開発する。 第二の課題については、MART-10に一連の2α-アゾールアルキル基を導入し、アゾール基のヘム鉄配位によるCYP24A1選択的阻害剤を開発する。更に、AH-1やその誘導体の共役トリエン構造への光照射で得られるスプラステロール構造を新規骨格とし、CYP24A1阻害活性の有無を検討する。CYP24A1阻害活性に関しては、富山県立大学工学部の榊 利之教授と共同研究を進める計画である。
|
Causes of Carryover |
合成原料であるビタミンDのCD環を別途予算で購入できたため、残金は来年度の物品費(消耗品費)に充当する。また、本年度の研究成果を国際会議で発表するための旅費としても充当する計画である。
|
Research Products
(41 results)