2020 Fiscal Year Research-status Report
Elongation of half-life time of vitamin D receptor ligands: acquisition of metabolic resistance and development of selective inhibitors against inactivation enzyme of vitamin D
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18K06556
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
橘高 敦史 帝京大学, 薬学部, 教授 (00214833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 真史 帝京大学, 薬学部, 講師 (50386611)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ビタミンD / ビタミンD受容体 / ビタミンD誘導体合成 / フッ素化化合物 / 代謝抵抗性 / CYP24A1 / 骨形成作用 / 制がん作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では活性型ビタミンD3誘導体として我々が見出した優れた骨形成作用を有するAH-1(2013年発表)および強力な制がん作用を有するMART-10(2003年発表)に対し、ビタミンD3特異的な不活性化酵素CYP24A1に対する代謝抵抗性の増強を獲得し、生物学的半減期を増長してそれぞれの薬理活性を強化する。これまでの研究期間で、CYP24A1酵素により水酸化される反応点に効率的なフッ素原子導入法を開発してきた。すなわち、ビタミンD3側鎖26位、24位、23位に段階的にフッ素原子を導入し、CYP24A1による酸化的な代謝不活性化を防止することとし、2018-2019年度には26位ヘキサフルオロ化の簡便な改良合成法と23位フッ素化の前駆体となる立体選択的23位水酸化法およびそれに続く脱酸素的フッ素化法を開発し、23位にフッ素原子が導入された23位の立体化学によって、ヒトCYP24A1に対する代謝速度が4倍異なることを見出し、論文発表した。また、24位ジフルオロ化の簡便な改良合成法を開発し、新たに論文発表した。一方、ビタミンD3不活性化酵素CYP24A1の選択的阻害剤についてAH-1の更なる誘導化を検討し、19-ノル型のAH-1を設計・合成した。 F. Kawagoe, S. Mototani, K. Yasuda, K. Nagasawa, M. Uesugi, T. Sakaki, and A. Kittaka. Introduction of Fluorine Atoms to Vitamin D3 Side-chain and Synthesis of 24,24-Difluoro-25-hydroxyvitamin D3. J. Steroid Biochem. Mol. Biol. 2019, 195 (12), 105477.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度には、AH-1誘導体によるビタミンD受容体(VDR)を介する転写活性とステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP: sterol regulatory element-binding protein)への非活性の対照検討や、病因キナーゼPAK-1に対するMART-10の阻害作用、AH-1誘導体やVDRアンタゴニストなどVDRリガンドに対するバイオセンサーの開発、またVDRアンタゴニストの計算化学的分子設計へと研究展開し、それぞれ論文発表した。 ・A. Nagata, A. Kittaka, K. Nagasawa, M. Uesugi et al. ACS Chemical Biology 2019, 14, 2851-2858. ・H. Maruta, A. Kittaka. Chemical evolution for taming the ‘pathogenic kinase’ PAK1. Drug Discovery Today 2020, 25, 959-964. ・丸田浩、安井文彦、橘高敦史、小原道法「COVID-19の食餌対策~PAKを遮断する野菜や食物成分~」食品と科学 2020, (11), 59-64.・真野寛生、高野真史、橘高敦史、榊利之ら「VDRリガンドに応答して発光量が劇的に上昇する分割型ルシフェラーゼバイオセンサーの開発」ビタミン2020, 94, 307-313. ・S. Nakamura, A. Kittaka, M. Takimoto-Kamimura, N. Kurita et al. Proposal of novel inhibitors for vitamin-D receptor. Biophys. Chem. 2021, 270, 106540.
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Strategy for Future Research Activity |
第一の課題については26位、24位、23位へのフッ素原子導入法について、効率的な合成法を開発し、論文発表した。これら独自の手法を適用して生物学的半減期を大幅に延ばしたMART-10-F6、MART-10-F2、MART-10-SF1、MART-10-RF1およびそれぞれに対応したAH-1-Fsを順次合成していく。それらの生物活性について、富山県立大学工学部・榊 利之教授と安田佳織講師、日本大学医薬部・槇島 誠教授および製薬企業の研究者らとビタミンD活性評価を共同研究で進める。 第二の課題については、ビタミンD代謝酵素の世界的第一人者である富山県立大学工学部・榊 利之教授との共同研究により、新規AH-1誘導体群の拡充およびMART-10に一連の2α-アゾールアルキル基を導入した新規化合物の阻害活性評価を引き続き行っていく。ビタミンD骨格をもつアゾール基のヘム鉄配位によるCYP24A1選択的阻害を期待している。これにはCYP24A1のX線結晶構造解析に基づき、基質となるビタミンD3骨格にアゾール構造を導入してヘム鉄に配位させ、酸素の還元的活性化を阻止する選択的CYP24A1阻害剤を取得する。また、この分野ではスーパーコンピューター富岳を利用する計算化学的アプローチに豊橋技術科学大学・栗田典之博士らと共同研究を進める [10]。 10. Yuta Terauchi, Rie Suzuki, Ryosuke Takeda, Ittetsu Kobayashi, Atsushi Kittaka, Midori Takimoto-Kamimura, and Noriyuki Kurita. Ligand Chirality Can Affect Histidine Protonation of Vitamin-D Receptor: ab initio Molecular Orbital Calculations in Water. J. Steroid Biochem. Mol. Biol. 2019, 186 (1), 89-95.
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Causes of Carryover |
消耗品の支出が計画より少なかった。またコロナ禍で、国内外の学会がオンラインで実施、あるいは延期・中止となり、また共同研究打合せもオンラインで実施したため、旅費の使用が全くなかった。次年度使用額は、主に消耗品を中心に支出する計画である。
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Research Products
(18 results)