2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K06558
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
高橋 圭介 東邦大学, 薬学部, 准教授 (60380854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 恵介 東邦大学, 薬学部, 教授 (80276609)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 全合成 / ウルポシジン / NO / 一酸化窒素 / アルカロイド / iNOS |
Outline of Annual Research Achievements |
ウルポシジン A (Urupocidin A) は2014年、千島列島の得撫島で採取された海綿 Monanchora pulchra より単離構造決定されたグアニジンアルカロイドである。本天然物は、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)の発現を誘起することによって一酸化窒素(NO)の生合成を促進することが明らかにされた。このような生物活性を示す海洋性アルカロイドはこれまでに報告されておらず、本天然物は今後、iNOSの機能研究やそこに作用する新たな医薬リード化合物として活用されることが期待される。我々は本天然物の全合成達成を目指して本研究に着手した。ペンチン1-オールを出発原料とし、PMB化、プロピル化、脱PMB化、酸化を経て4-オクチンカルボン酸を合成した。Wienreb アミドへ変換後、4-ペンチン1-オール保護対から導いたアセチリドとのカップリングによりプロパルギルケトンとした。このものの野依触媒を用いる還元は対応するプロパルギルアルコールを高エナンチオ純度で与えた。アルキンの位置及び立体選択的還元により得られるトランスアルケン7をmCPBAによりエポキシ化し所望のエポキシドを主生成物として得た。エポキシドの位置選択的開環により1,3-ジオールとした後、ラクトンを経て左部カルボン酸まで到達した。現在、アシルイミダゾールへの変換と右フラグメントの合成を検討しており、これらのカップリングによりウルポシジンの合成につなげる計画である。さらに左部の合成に関して、選択性などの課題も出てきたのでこれに関しても再検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
左部の合成が完了した。しかし課題も多く今後合成法の改良も視野に入れている。右部の合成に関してはまだ着手したばかりであり、合成ルート開拓が急務である。
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Strategy for Future Research Activity |
左部の合成法を改良しつつ、右部の合成法を確立し、全合成に繋げる。
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Causes of Carryover |
一部実験器具の購入を見合わせたり、次年度に持ち越すなどしたため当初の想定より支出が少なくなった。又、学会出席を見合わせたため、旅費を支出しなかった。今年度の経費は、実験器具、試薬、溶媒の購入と研究成果発表のための学会出席に充てる予定である。研究の進捗そのものに影響はない。
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