2019 Fiscal Year Research-status Report
新たなユビキチンリガーゼをリクルートするプロテインノックダウン法の開発
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18K06567
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
大岡 伸通 国立医薬品食品衛生研究所, 遺伝子医薬部, 室長 (80568519)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 標的タンパク質分解 / E3リガーゼ / ユビキチン / プロテアソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、私達が開発したSNIPERもしくは海外のグループが開発したPROTACと呼ばれる化合物によって細胞内の標的タンパク質を選択的に分解する技術(プロテインノックダウン法)が確立され、新しい創薬技術として注目を浴びている。本研究は、プロテインノックダウン化合物の創製に利用できるE3リガーゼを拡充することで、この技術の汎用性をさらに高めることを目的とする。 昨年度までに、リガンド依存的に活性化するE3リガーゼとしての機能が知られている核内受容体aryl hydrocarbon receptor (AhR)に対するリガンドの一つであるbeta-naftoflavone(beta-NF)を、cellular retinoic acid binding protein (CRABP)-1やCRABP-2に対する標的リガンドであるAll-trans retinoic acid (ATRA)に繋いだ化合物(beta-NF-ATRA)が、CRABP-1やCRABP-2をユビキチン・プロテアソーム系により分解する活性があることを明らかにしている。本年度はまず、この化合物の作用の詳細な分子メカニズム解析を行った。siRNAにより事前にAhRの発現を抑制しておくと、beta-NF-ATRAによるCRABP-1やCRABP-2タンパク質の発現低下が大きく阻害された。また、免疫沈降法により、beta-NF-ATRA はAhRやCRABP-2と3者複合体を形成することを明らかにした。以上の結果から、beta-NFが実際にAhRを利用して標的タンパク質を分解していることが示唆された。またこの他に、標的タンパク質をCRABPから別のタンパク質に変えてもAhR依存的な標的タンパク質分解が起こることを示し、このシステムの汎用性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、AhRリガンドをE3リガンドとして利用したプロテインノックダウン化合物の分子メカニズム解析により、この化合物がAhRを利用して標的タンパク質の分解を誘導できることを明らかにすることができた。また、標的タンパク質を変えてもAhR依存的な標的タンパク質分解を誘導できることから、このシステムの汎用性を明らかにできた。これらのことから、本研究は順調に進行していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までに開発した、AhRを利用して標的タンパク質を分解する化合物の抗がん活性をリガンドに利用した阻害剤と比較して、分解誘導剤としての利点を検証する。また、この化合物による抗がん活性もAhR依存的に誘導されるか検証する。
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Causes of Carryover |
次年度以降に繰り越しされる研究費が生じた理由としては、年度末の学会の参加費及び旅費が未精算であること、本年度の研究が概ね順調に進展したことから無駄な物品費がかからなかったことが挙げられる。 繰り越し研究費の一部は本年度の未精算の学会参加費及び旅費に使用する予定である。また残りは、本年度の研究の進展から推測される次年度以降の研究計画を考えると物品費が多くかかることが予測されることから、物品費として使用する予定である。
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Research Products
(8 results)