2019 Fiscal Year Research-status Report
理論計算を基盤とする金の特性を活用した新規合成反応の開拓
Project/Area Number |
18K06571
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
斉藤 竜男 東京農業大学, 生命科学部, 准教授 (40612065)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 環化反応 / DFT計算 / 天然物合成 / 創薬化学 / 機能性分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では理論計算で明らかにした反応経路をもとに、金触媒を用いた環化反応で得られる不安定な金中間体を、プロトン源による安定化を鍵として合成困難な高機能性分子の創製と触媒的分子変換反応の開発を目指しました。前年度までに (1) 蛍光特性を有する芳香族複素環化合物の短段階合成と (2) 多環式複雑天然物ゴニオドミン A の合成研究、(3) 金-遷移金属間相互作用の理論解析を行ってきました。本年度は (1) では様々な複素環化合物を求核剤として検討した結果、前年度に見出した条件では反応が困難であったため、プロトン源、配位子を再度検討し作用させることで新たな環化条件を見いだしました。その一方で望まない副反応の抑制には検討の余地が残されています。そこで実験化学と並行して理論計算による反応機構解析を行っています。また、前年度までに合成が達成された分子骨格、手法により二方向に合成展開を行うことでπ共役系拡張型分子の合成を行いました。今後収率改善を進めた後、分光学的検討を実験と理論の両輪で行います。(2) ではゴニオドミン A のABC 環部の合成について検討を進めました。2-deoxy-d-ribose より誘導した A 環アリルアルコールに対し、位置及び立体選択的な転位反応により、所望の 1,3-ジオールのアセタール保護体が高収率、高選択的に得られました。現在鍵反応の検討に向け炭素鎖伸長を進めています。(3) では予備段階の結果ですが、金とトランスメタル化を引き起こすことが可能な候補金属を見出し、現在更なる解析を行っています。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提案目標課題の一つである機能性分子の創製について、低求核性化学種の付加について基質一般性に問題があるものの、高収率で合成できる分子骨格を用いてπ拡張型芳香族化合物を合成に成功したことから研究は概ね順調に進展していると言えます。
|
Strategy for Future Research Activity |
π拡張型芳香族化合物に関して、今後合成収率の改善と物性の評価を進める予定です。ゴニオドミン A について合成をさらに進め、合成した A環部位を前年度合成した DE 環化合物とつなげ、鍵段階の検討を行う予定です。
|
Causes of Carryover |
購入予定物品の価格交渉により当初想定した使用額の範囲内で購入することができました。差額分については次年度有効活用いたします。
|
Research Products
(2 results)