2018 Fiscal Year Research-status Report
メロテルペノイド高酸化型骨格に着目した化合物ライブラリー構築と抗癌剤創薬への展開
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18K06574
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
松谷 裕二 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 教授 (50255858)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アンドラスチン / メロテルペノイド / 抗癌性 / 酸化度 |
Outline of Annual Research Achievements |
アンドラスチン類やテレノイド類をはじめとする、抗癌性が期待されるメロテルペノイドのステロイド様骨格CD環部をモチーフとし、その「酸化度」と「生物活性」の相関関係を探求して新規な抗癌性医薬シーズを探索すべく、本研究に着手した。研究展開の戦略としては、「多様な酸化状態を有するD環相当部の構築」と「ステロイド骨格の脂溶性を多様なアルキル側鎖にて付与する」ことを2つのパラメーターとして設定した。 母核構造となるCD環相当の二環性骨格は、既知のHajos-Parishケトンより得ることとし、文献記載の合成法に準じて合成を実施した。重要構造の1つである縮環部のメチルエステルについては、永田試薬の1,4-付加反応によるシアノ基の導入、引き続く加水分解とメチルエステル化により、立体選択的に導入することとし、種々の条件検討を行った。その結果、高収率、高シス選択的にて目的の付加体を得ることに成功した。その後、Wittig反応によりC環相当部にアルキル鎖を導入して、シアノ基の加水分解、エステル化を実施する計画で、検討を進めた。今のところ収率等に難点が残るものの、目的とする多様な脂溶性アルキル側鎖を導入するための足がかりとなる合成ルートになり得ると考えており、今後は工程の効率化を目指してさらに条件検討等を進めることが必要である。さらに、D環相当部の酸化的変換についても検討を進め、「2つのパラメーター」の多様性を追求するための基盤を構築していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Hajos-Parishケトンの合成は、既知の方法にて問題なく達成している。永田試薬の1,4-付加反応は、当初は選択性のコントロールや収率に問題があったが、検討を重ねた結果、収率72%にてほぼシス体のみを生成する反応条件を見出だすことに成功した。なお、立体構造は、X線結晶構造解析にて決定できている。 アルキル側鎖の導入は、当初計画ではトリフレート体に対するカップリング反応を考えていたが、トリフレート化が効率よく進行しなかったため、ケトン体に対するWittig反応による方法に変更することとした。Wittig反応は高収率にて進行することが見出だされている。シアノ基の加水分解とエステル化は低収率にとどまっており、今後さらなる条件検討を要すると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
第一のパラメーターであるアルキル側鎖の導入については、Wittig反応を活用することで多様性を追求できるメドが立ったので、今後はシアノ基の変換も含めてさらに検討を進めていく。その上で、第二のパラメーターであるD環相当部の酸化変換について、検討を進めていきたい。
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