2020 Fiscal Year Research-status Report
Organic chemistry using acetal-type salt species
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18K06576
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤岡 弘道 大阪大学, 薬学研究科, 名誉教授 (10173410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝澤 忍 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (50324851)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | in situ protection法 / 光学活性THF環 / 不斉酸化 / AD-mix-β |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは、既にホスフィン由来のアセタール型ホスホニウム塩を反応系内で一時的な保護基として利用するin situ protection法を開発し、異なる反応性を示すカルボニル基間の反応性の逆転や、反応性の類似したカルボニル化合物間の反応性の制御に成功している。またその過程で、α,β-不飽和ケトンとα,β-不飽和エステルを同一分子内に持つ基質から、one-potでTHF環、THP環を得ることにも成功している。 本研究では天然物合成を意識して、上記のone-potエーテル合成法の拡大を目指して、まずα,β-不飽和アルデヒドとα,β-不飽和エステルを同一基質内に併せ持つ化合物での反応を検討した。すなわちα,β-不飽和アルデヒドをPPh3由来のホスホニウム塩中間体として選択的に保護し、残りのα,β-不飽和エステルの二重結合を酸化してジオールとした後、α,β-不飽和アルデヒドを再生するとoxa-Michael反応を起こして、one-potで合成synthonとしてより有用なエーテル環が収率良く得られる手法を開発した。昨年度はその反応を光学活性なエーテル環合成に応用すべく、研究を行った。その結果、PPh3由来のホスホニウム塩中間体を経る反応では、光学活性なジオール合成のために特殊な不斉酸化条件を用いる必要があり、市販されているAD-mix-β反応剤を用いることが出来なかった。 そこでさらに検討を行い、α,β-不飽和アルデヒドを、より嵩が小さく求核性が強いEt3P由来のホスホニウム塩とすると、AD-mix-β反応剤で残りのα,β-不飽和エステルの二重結合の不斉ジヒドロキシ化が進行し、光学活性なTHF環を85%eeで得ることに成功した。さらに反応条件を精査し、MeSO2NH2を添加することにより、収率66%、光学純度92%eeで光学活性なTHF環を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は、新型コロナによる緊急事態宣言などにより、実験進度が大幅に遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
光学活性THF環合成法を開発し、その手法を適用して、天然物の簡便合成を昨年度中に終了する予定であった。しかしながら昨年度は新型コロナの影響により研究の大幅な遅れが生じた。そこで昨年度が最終年度であった本科研による研究の延長を申請し認められたので、本年度は天然物合成を目指して更なる研究を行う。
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Causes of Carryover |
昨年度は、新型コロナの拡大により、学会等もオンライン開催となり、旅費などが発生しなかった。また研究の中断などにより大幅な研究の遅延が見られ、実際の実験などに使用する試薬代金等の購入も計画通りに施行できなかった。 そこで延長の申請により研究の繰り越しが認められたので、研究計画の未研究部分を中心に研究を行う。余剰、助成金はその研究遂行の為に使用する。
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