2019 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis of Heterocycles by Utilizing Characteristic Features of N-N bond
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18K06590
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
上田 昌史 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (00340935)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | シクロプロペン / 環化異性化反応 / ピロール |
Outline of Annual Research Achievements |
医薬品には複素環を有するものが多いため、それらのより効率的な新しい合成法の開発が強く望まれている。特にピロール環は、医薬品や多くの生物活性物質に含まれる重要な骨格である。そこで、既存の方法を凌駕する、効率的なピロール類の新規合成法の開発を目的とし、オキシムエーテルを有するシクロプロペンを基質とした、遷移金属触媒による環化異性化反応を検討した。はじめに、O-メチルオキシムエーテルを基質として用いて、THF還流条件中、塩化銅(Ⅱ)を触媒とした環化異性化反応を検討した。Z配置のオキシムエーテルでは、期待通り反応は効率よく進行し、ピロールが収率良く得られた。一方、E配置の基質では収率が若干低下した。次に、シクロプロペン環の置換基効果について検討した。かさ高い置換基として、t-ブチル基を有する基質を用いて環化異性化反応を検討したところ、Z体の反応では、収率よくピロールが得られるのに対し、E体の環化異性化反応は、ほとんど進行せず、収率は大幅に低下した。このことから、基質の幾何異性によって本環化異性化反応の反応経路が異なる事が推測される。 また、本反応は様々な置換様式をもつ多置換ピロールの合成が可能であることが明らかとなった。例えば、すべての位置に置換基をもつシクロプロペニルオキシムエーテルをした場合では、期待通り、位置選択的に環化異性化反応が進行し、五置換ピロールが高収率で得られた。 以上のように、オキシムエーテルをもつシクロプロペンの環化異性化反応による多置換ピロール類の新規合成法の開発に成功した。本反応は、基質に存在するすべての原子が生成物中に含まれることから、廃棄物が生成しない原子効率の高い反応である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の報告書で予定したピロール合成法の開発には成功したが、本研究の主題である窒素―ヘテロ原子結合の特性が完全に活かされていないため、進捗状況としては遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
窒素―窒素結合の求核性を利用した連続反応の開発を行う。すなわち、2つの窒素原子の求核性を最大限に活用した閉環反応と環拡大反応を連続的に進行させ、縮環型のヘテロ環の構築法を開発する。
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Causes of Carryover |
少額の次年度使用額が生じたが、概ね順調に使用しいていると考えている。
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Research Products
(7 results)