2021 Fiscal Year Annual Research Report
Drug sensitivity prediction for anaplastic lymphoma kinase mutants using molecular dynamics simulation and its informatics analysis
Project/Area Number |
18K06594
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荒木 望嗣 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (10452492)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非小細胞肺がん / ALKキナーゼ / 薬剤耐性変異 / 分子動力学シミュレーション / タンパク質-化合物結合親和性 / 統計解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、非小細胞肺がん(NSCLC)の薬剤耐性に着目し、anaplastic lymphoma kinase(ALK)遺伝子変異に伴う分子標的薬剤の応答性変化をコンピューター上で高精度に予測する方法論を開発・実装した。 R3年度は、H30/R1/R2年度に抽出した薬剤耐性変異体候補に対して薬剤応答性を実験的に測定し、これらの実データを用いて予測プロトコールの計算精度を評価した。分子動力学(MD)シミュレーションが正常に完了したALK変異体177種のシミュレーション結果を解析したところ、3種の薬剤(crizotinib, alectinib, ceritinib)の全てに対して結合状態(結合位置あるいは構造揺らぎ)が変化した変異体は17種類であり、このうち薬剤と接触していないアミノ酸の変異は11種類含まれていた。これらの中から薬剤耐性変異/ドライバー変異と知られている変異体を除いた7種類を未知の多剤耐性変異候補として抽出し、各薬剤の結合結合自由エネルギーを精密に計算して野生型の値と比較したところ、3種類の変異体では全ての薬剤に対して結合親和性が低下し、残り4種類の変異体では2つの薬剤に対して結合親和性が低下する結果となった。そこで、これらの変異体の薬剤応答性を研究協力者である(公財)がん研究会・がん化学療法センターの片山量平博士に支援を得て測定したところ、薬剤3種に対して結合親和性が低下すると予測した変異体3種のうち、実際に全ての薬剤の応答性が低下した変異体は2種類であった。以上の実験結果より、本研究で開発した予測プロトコールの計算精度は67% (=2/3)と見積もられた。 また、上記のシミュレーション手法を応用することで、ALK遺伝子変異及びEGFR遺伝子変異に起因するタンパク質活性異常の分子メカニズムを推定し、論文発表に至った。
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