2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a system for profiling the pathophysiology of diseases from the phosphorylated states of proteins
Project/Area Number |
18K06596
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
木下 恵美子 広島大学, 医系科学研究科(薬), 助教 (40379912)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Phos-tag / シグナル伝達 / キナーゼ / リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は,リン酸基を特異的に捕捉する分子,「Phos-tag」を利用したリン酸基親和性電気泳動法(Phos-tag 電気泳動法)を開発し,それを用いて,細胞シグナル伝達分子をはじめとした疾患関連タンパク質のリン酸化状態を解析してきた。Phos-tag電気泳動による解析を行うと,ほとんどのタンパク質が複雑な泳動像を示し,シグナルの有無に関わらず複数のリン酸化状態を有することがわかる。 増殖因子などに応答する細胞内シグナル伝達経路に属するキナーゼなどは,様々なガンにおいて遺伝子変異が多く報告されており,それらのキナーゼを標的とした創薬も進展しつつある。また,MAPK, NF-kB,AKT経路など重要な細胞シグナル伝達経路に属する分子には,その機能異常が疾病の原因となっているものがある。本研究では,疾患に関わるキナーゼの変異とリン酸化状態の関連をPhos-tag電気泳動解析を用いて解明した。 MAPKシグナル伝達経路に含まれるMEK1ではメラノーマ,肺がん,卵巣癌などの孤発性のガンにおいて,MEK1の点変異が多く報告され,発ガンやガンの悪性度との相関が示唆されている。また,MEK1阻害剤耐性細胞においても多くの点変異が報告されている。本研究では,報告されている点変異15種類について,変異体を作成し,それらの細胞内におけるリン酸化状態をPhos-tag 電気泳動解析した。 MEK1の解析を通じて,様々なタンパク質の遺伝子変異に対して,Phos-tag電気泳動パターンを調べることで,ガンとの相関,キナーゼ活性の予測,薬剤の有効性の予測などが可能になることが示された。 また,MEK1のみならず,これまでの研究において蓄積してきた多くのタンパク質のPhos-tag電気泳動解析データを(http://phostag.hiroshima-u.ac.jp)において2018年より公開している。
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