2018 Fiscal Year Research-status Report
肝局所薬物動態と治療効果の最適化を図る製剤設計に基づく二層型シート製剤の開発
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18K06598
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| Research Institution | Nagasaki University |
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Principal Investigator |
西田 孝洋 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (20237704)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 癌化学療法 / コントロールドリリース |
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| Outline of Annual Research Achievements |
肝臓など腹腔内臓器表面からの薬物吸収を利用するDDS製剤を、臨床応用するための基盤を確立することを目的として、病巣部位選択的な薬物送達を可能にする肝臓表面投与法を提案し、抗癌薬含有シート製剤の開発に着手した。これまでに生分解性を有する高分子の基剤のみで構成するシート製剤を試作したところ、薬物放出速度が極めて遅く、臨床応用への障壁となる可能性が高いことが推察された。したがって、シート製剤の臨床応用では適切な薬物放出速度制御が重要になる。そこで本年度は、薬物放出速度の向上が期待できる添加剤を併用した、抗癌薬Doxorubicin(DOX)を含有する二層型シート製剤を作製し、薬物放出性とマウスでの体内分布を評価した。シート製剤の基剤には、生分解性高分子Poly(D,L-lactide-co-glycolide)(PLGA)を用い、添加剤としてPolyvinylpyrrolidone K30 (PVP)、Hydroxypropyl cellulose (HPC)を選択した。DOX、基剤および添加剤の混合液をガラス製円筒に滴下し風乾させた。直径12 mmの半円に切り取りPLGAのみのシート製剤と重ね合わせ、二層型とした。DOXを含有したシート製剤にPVPおよびHPCを10%(w/w)併用することができた。PVPおよびHPCを併用し、基剤量を調節することにより、シート製剤からのDOX放出に適度な徐放性が認められた。添加剤を併用したシート製剤をマウス肝臓に貼付したところ、6日後まで貼付部位近傍にDOXの集積が認められた。一方、DOXは血漿と心臓にほとんど移行しておらず、全身への副作用は低いものと推察された。以上の結果より、DOX含有シート製剤に添加剤を併用することで薬物放出性や体内分布を制御できる可能性が示唆された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の大きな目的である、マウス肝臓表面へ適用可能な、抗癌薬と添加剤を封入した徐放化に優れた、片面からの薬物放出を可能にする二層型シート製剤を作製し、体内動態の評価を予定通り達成できた。しかしながら、次年度に計画している担癌モデル動物における二層型シート製剤の効果判定のための、腫瘍細胞の播種条件などの最適化に、当初予定していた以上の時間を費やした。また、担癌モデル動物において、組織透明化の手法を活用した抗癌薬の肝臓内分布の可視化の予備検討も進めている。さらに、遺伝子デリバリーへの二層型シート製剤の適用を想定して、活性酸素種などの細胞内イベントの遺伝子発現への影響を検証している（論文業績）。
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| Strategy for Future Research Activity |
均一な形状の片面からの薬物放出を可能にする抗癌薬ドキソルビシン含有二層型シート製剤の作製方法を確立できたので、マウスを用いて、癌細胞（Hepa1-6など）移植により、肝癌の病態モデル動物を作製する。ドキソルビシンの二層型シート製剤を、肝癌モデル動物の肝臓表面の癌病巣に貼付する。抗癌薬の肝臓などへの体内分布、および治療効果・副作用の指標となる細胞死や酸化ストレスレベルを、組織透明化の手法を活用して可視化する。さらに、ここまでのデータに基づいて、肝臓表面へ貼付後の抗癌薬の肝局所動態を生理学的モデルを活用して薬物速度論的に解析し、副作用をシミュレーションする。
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| Causes of Carryover |
（理由）組織透明化の予備検討を開始し、正常動物における実験手法は確立できた。しかしながら、担癌動物における組織透明化の手法を検証するために、肝臓内の局所への癌移植のための基礎的な安定した条件設定に想定以上の時間を要し、動物実験が予備的検証にとどまってしまったため、次年度使用額が生じた。
（使用計画）シート製剤作製のための抗癌薬（ドキソルビシン）、高分子添加剤（PLGA, HPC）などの薬品類を購入する。その他、抗癌薬などの定量用のガラス・プラスチック器具の購入を予定している。一方、シート製剤の大部分の評価をin vivo系で行うこと、実験的担癌モデル動物（マウス）を作製することから、実験用動物の購入に多額の経費を見込んでいる。さらに、DDS、薬物動態、薬物治療に関する学会に参加し、製剤設計やがん化学療法に関する最新の研究成果の情報収集および成果発表のための旅費を見込んでいる。
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Research Products
(4 results)
