2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K06600
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中村 照也 熊本大学, 大学院先導機構, 准教授 (40433015)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 構造生物学 / 中性子結晶構造解析 / X線結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト酸化ヌクレオチド加水分解酵素は,細胞内の酸化ヌクレオチドを加水分解することで突然変異を抑制する一方で,がん細胞に高発現することで,がん細胞の生存にも寄与することが新たに報告されて以来,新規作用機構の抗がん剤ターゲットとして注目されている.本研究は,本酵素のX線・中性子を連携させた精密構造解析を行い,水素原子レベルでの酵素反応機構を明らかにすると同時に新たな阻害剤探索のための活性部位の詳細な構造情報も得ることを目的としている. 昨年度までの研究成果であるヒト酸化ヌクレオチド加水分解酵素の構造学的基盤から,これまでに報告されていない新たなヌクレオチド(新規ヌクレオチド)が基質となりうる可能性が示唆されたため,新規ヌクレオチドの複合体結晶を調製し,放射光施設Photon Factory Advanced RingのビームラインNE3Aにて1.0オングストローム分解能のX線回折強度データを収集した.構造解析を行った結果,新規ヌクレオチドの加水分解部位がこれまでの基質と同様の様式で活性部位に結合していることが分かった.さらに,結晶内反応を行った結晶を用いた構造解析も行うことで,新規ヌクレオチドが生成物へと加水分解されることを確認した.これらの実験に加え,新規ヌクレオチドの加水分解活性測定,活性阻害効果の検証,さらには結合親和性解析を行うことで,本新規ヌクレオチドはヒト酸化ヌクレオチド加水分解酵素に対して結合親和性が非常に高い基質であることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年の中性子・X線の回折強度データ収集に続き,新規基質の同定,構造解析を行うことができたため,研究はおおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
他の種類の基質複合体についても大型結晶を調製し,中性子・X線の回折強度データを収集,構造解析を進める.
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Causes of Carryover |
実験プロトコールの改良に伴い,予定よりも試薬使用量を少し削減することができたため.
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