2020 Fiscal Year Annual Research Report
Crystallographic analysis of an anticancer target enzyme at high resolution
Project/Area Number |
18K06600
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中村 照也 熊本大学, 大学院先導機構, 准教授 (40433015)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 構造生物学 / 中性子結晶構造解析 / X線結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト酸化ヌクレオチド加水分解酵素は、細胞内の酸化ヌクレオチドを加水分解することで突然変異を抑制する一方で、がん細胞に高発現することで、がん細胞の生存にも寄与することが新たに報告されて以来、新規作用機構の抗がん剤ターゲットとして注目されている。本研究は、本酵素のX線・中性子を連携させた精密構造解析を行い、水素原子レベルでの酵素反応機構を明らかにすると同時に新たな阻害剤探索のための活性部位の詳細な構造情報も得ることを目的としている。本年度は、酸化ヌクレオチド加水分解酵素と基質複合体結晶の大型結晶を調製した。本結晶を用いて大強度陽子加速器施設J-PARC MLFにて2.1オングストローム分解能の中性子回折強度データを収集した。Joint refinementのためのX線回折強度データについては、放射光施設Photon FactoryのBL5Aにて0.9 オングストローム分解能のデータを収集した。現在データ処理を行っている。また、2019年に見出した新規基質との複合体についても大型結晶を調製した。酸化ヌクレオチド加水分解酵素の幅広い基質特異性をさらに理解するために、親和性の低い基質との複合体のX線結晶構造解析を試みた。基質大過剰の条件下で結晶化を行い、得られた結晶を用いてPhoton FactoryのBL17Aにて3オングストローム分解能のデータを収集した。結晶化条件を検討することで高分解能データ収集を見込める結晶が得られたので、本結晶を用いてX線回折実験を進めていく予定である。
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