2020 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of PATM syndrome based on human skin gas analysis
Project/Area Number |
18K06607
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
関根 嘉香 東海大学, 理学部, 教授 (50328100)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 皮膚ガス / PATM / 拡散濃度 / 嗅覚閾値 / 室内環境 / ガスクロマトグラフィー / 体臭 / 化学物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト皮膚から放散される微量生体ガス(皮膚ガス)は体臭の原因となり、他者の快・不快感に影響することがある。一方、自分の皮膚ガスによって周囲の人がアレルギー様症状を発症すると主訴する人たちが存在する。このような現象・症状はPATM(People Allergic To Me, パトム)と呼ばれ、科学的・医学的には全く未解明である。本研究の目的は、皮膚ガス分析に基づき、PATMが物理・化学的に成立するかを検証することである。 令和2年度は新型コロナウイルス感染防止の観点から、被験者試験の実施は困難であったが、全研究期間を通じてPATMを主訴する被験者20名について、パッシブ・フラックス・サンプラー/ガスクロマトグラフ-質量分析法により、皮膚ガス75成分の放散量値を収集することができた。各皮膚ガス放散量をPATM被験者と健常者で比較した結果、PATM被験者においてアセトアルデヒド、ブタナール、ヘキサナール、イソ吉草酸アルデヒド、アセトン、2-エチル-1-ヘキサノール、トルエン、メチルメルカプタン、エチルメルカプタンなどが有意に高かった。特に化学物質過敏症に関連するトルエンの放散量は、健常者の値の36倍であった。次に、各皮膚ガス放散量を用いて室内空気中への拡散濃度を推定し、嗅覚閾値と比較した。健常者の場合、オクタナールや酢酸などが体臭に寄与するが、PATM被験者ではこれらに加えてブタナールやヘキサナールが寄与しており、PATM被験者の言説に表れる「焦げ臭いにおい」の原因になっていると考えられた。 以上の結果から、PATM被験者の皮膚ガス組成は健常者のものと有意に異なること、化学物質過敏症関連物や焦げ臭い成分の放散量が多いことがわかった。したがって、このような人の周りに化学物質に対して感受性が高い人がいるとき、PATMと呼ばれる現象・症状は成立する可能性がある。
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Research Products
(6 results)