2018 Fiscal Year Research-status Report
Design of nanoparticle as orally nucleic acid medicine delivery for treatment of inflammatory bowel disease
Project/Area Number |
18K06611
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
山本 浩充 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (30275094)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / ポリ乳酸グリコール酸 / ナノ粒子 / 高分子ミセル / 粘膜付着性 |
Outline of Annual Research Achievements |
潰瘍性大腸炎の根治を目的とし、炎症部位に効率よく薬物を送達可能な薬物キャリアの設計を行った。潰瘍性大腸炎のモデルラットとしてドデシル硫酸ナトリウムを溶解させた水を1週間自由引水させることにより作成した。炎症の発症の確認は、下痢様便と下血をスコア化した疾患活動指数(DAI)ならびに大腸の長さの短縮化から行った。DAIが上昇したモデルラットに対して、蛍光標識したキトサン修飾ポリ乳酸グリコール酸(PLGA)ナノ粒子もしくは両親媒性高分子であるソルプラス(R)からなる高分子ミセルをキトサン修飾した粒子懸濁液を投与した。それぞれの粒子径は約370nm, 約120nmであった。その結果、粒子表面を修飾しているキトサンが胃粘膜との相互作用することにより、投与3時間後も粒子の半分以上が存在していることが定量的に観察された。その後、8時間、24時間と時間の経過とともに減少した。一方、対照となる未修飾のナノ粒子を投与した群では、投与3時間でほとんどの粒子は胃から排出され、小腸など下部組織に移行していた。ただし、今回の定量的な粒子挙動の解析では、盲腸部位および炎症が惹起されている大腸部位でのナノ粒子の蛍光強度は検出限界以下となり、評価することができなかった。共焦点レーザー顕微鏡を用いて、ナノ粒子を投与して8時間後の潰瘍性大腸炎惹起ラットの大腸を観察したところ、管腔側組織全体に、蛍光が観察されたことから、ナノ粒子自体は大腸組織に到達していることが確認された。 また、ナノ粒子粉末に腸溶性加工した粉末を投与したが、粉末が消化管中で希釈されたもしくは投与するために懸濁した水に腸溶性高分子が一部溶解したためか、ナノ粒子単独投与時と同様、盲腸や大腸でナノ粒子を定量することはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高分子ミセルを蛍光標識する際、検出感度を高めるために蛍光標識物質仕込み量を増加する処方で粒子調製を試みたが、透析法による粒子の精製過程において標識物質がミセル内から漏出して析出するなどの現象が生じた。このため、封入可能な蛍光標識物質量の最適化などに時間を要してしまった。また、胃および小腸でのナノ粒子の推移などを明らかにすることはできたが、粒子への蛍光物質封入量が少なかったため、蛍光光度計での盲腸、大腸部位におけるナノ粒子の定量をすることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
大腸部位においてナノ粒子の分布量が定量的に評価できていない点に関しては、共焦点レーザー顕微鏡により粒子の存在が確認できていることから、蛍光標識物質を抽出した試料を蒸発乾固した後、少量の溶媒に溶解するなど、定量性を高めて計測を行う。また、腸溶性処理を施した粉末を投与した群においても大腸部位での定量ができていないことから、大腸への直接投与もしくは直腸からナノ粒子を投与する実験系を組み立てる計画を立てている。
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Causes of Carryover |
蛍光標識した高分子ミセルの調製に時間を要したため、動物実験の例数が少なくなり、30年度の研究費使用額が少なくなってしまった。ミセル調製法は確立できたため、製剤の投与方法の工夫、定量方法の工夫により、潰瘍性大腸炎に適したナノ粒子の設計ならびに大腸炎治療の評価を勢力的に進めて行く予定である。
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