2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel free energy change prediction method independent of entropy change
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18K06615
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
川下 理日人 近畿大学, 理工学部, 講師 (00423111)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 蛋白質間相互作用 / フラグメント分子軌道法 / 相互作用エネルギー / 活性予測 / 阻害剤 / エンタルピー / エントロピー / 自由エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主としてHIVプロテアーゼ阻害剤系に関する阻害剤とアミノ酸残基との相互作用エネルギーの和(IFIE-sum)との相関関係から、その予測式の構築と精度検証を行った。 計算によって得られた蛋白質-阻害剤間のIFIE-sumと文献中のエンタルピー変化の相関係数は全体で0.53であり、中程度の相関であった。そこで、阻害剤をアンプレナビル、ネルフィナビル、ダルナビルからなるgroup 1とアタザナビル、サキナビルのgroup 2の2つに分割して相関を再計算したところ、group 1の相関は0.86、group 2の相関は0.96となった。これらの関係を用いて、エンタルピー変化をIFIE-sumの関数とする予測式を作成した。また、エンタルピー変化とエントロピー変化との関係から同様に予測式を作成した。 阻害剤全体での予測結果は、実験値と予測値との相関係数が0.30、予測値と実験値との平均2乗平均誤差が1.39であった。Group 1については、実験値と予測値との相関係数が0.77、予測値と実験値との平均2乗平均誤差が1.18であった。Group 2については、実験値と予測値との相関係数が0.88、予測値と実験値との平均2乗平均誤差が1.12であった。 この結果より、Group 1, 2のように相関の強い阻害剤ごとに適切に分類することにより、実験値との相関を高くすることが可能となり、IFIE-sumによる予測に利用できるのではないかと考えられる。 次年度は内部バリデーションや外部バリデーションも検討する。また、フラグメント分子軌道法では、各相互作用エネルギーを詳細なエネルギーへと分割することがことできるため、これを用いて、各エネルギー成分との予測式構築も検討し、より適用範囲の広い予測を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は前年度に計算したHIVプロテアーゼ阻害剤複合体12個に関するフラグメント間相互作用エネルギーの和(IFIE-sum)とエンタルピー変化間との相関に関する結果より、自由エネルギー変化の予測式を作成し、実験値との相関およびその誤差に関する検討を行った。 計算によって得られた蛋白質-阻害剤間のIFIE-sumと文献中のエンタルピー変化の相関係数は全体で0.53であり、中程度の相関であった。そこで、阻害剤をアンプレナビル、ネルフィナビル、ダルナビルからなるgroup 1とアタザナビル、サキナビルのgroup 2の2つに分割して相関を再計算したところ、group 1の相関は0.86、group 2の相関は0.96となった。これらの関係を用いて、エンタルピー変化をIFIE-sumの関数とする予測式を作成した。また、エンタルピー変化とエントロピー変化との相関係数は0.98であったため、エントロピー変化をエンタルピー変化の関数として予測式を作成した。これらより、自由エネルギー変化をIFIE-sumにより予測する式を作成、評価した。 阻害剤全体での予測結果は、実験値と予測値との相関係数が0.30、予測値と実験値との平均2乗平均誤差が1.39であった。Group 1については、実験値と予測値との相関係数が0.77、予測値と実験値との平均2乗平均誤差が1.18であった。Group 2については、実験値と予測値との相関係数が0.88、予測値と実験値との平均2乗平均誤差が1.12であった。 この結果より、Group 1, 2のように相関の強い阻害剤ごとに適切に分類することにより、実験値との相関を高くすることが可能となり、IFIE-sumによる予測に利用できるのではないかと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
HIVプロテアーゼ阻害剤およびFimH阻害剤に関する活性予測については、ある程度の結果が得られたことから、論文の執筆や学会発表を予定している。しかしながら、両者とも文献での報告例が膨大である一方、トレーニングセットに利用可能な熱力学的変化が少ないことから、精度良い予測にはより多くの標的を探索し、解析する必要がある。また、本件島では現在のところ検討対象となる複合体が少ないため、トレーニングセットでの評価のみとなっているが、内部バリデーションなどを行うことで、問題点の抽出を行う予定である。そのほか、複合体構造と活性値は報告されているが、熱力学的データがないデータを収集し、外部バリデーションとして用い、現段階でどこまでの予測精度が得られるかを検討する。 どの程度の範囲まで予測モデルを拡張できるかも合わせて検討する。 そのほか、同様の熱力学的データと複合体の構造が報告されている文献を引き続き検索し、これまで同様阻害活性とフラグメント間相互作用エネルギーとの相関を計算する。さらに、特定のアミノ酸残基と阻害剤との相互作用エネルギーや、その相互作用エネルギーを分割した静電相互作用、分割力、電荷反発、電荷移動などの各エネルギーを用いた予測式の構築も検討し、阻害剤の構造修飾に応用可能しやすいよう改良していきたい。
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Causes of Carryover |
本年度については学会出張・参加に関する教員分の旅費を他の経費で充当できたことから、余剰金が生じた。この余剰金は次年度の書籍購入および国際学会等の出張費や参加費に使用する予定である。ただし、新型コロナウイルスの影響により出張が可能かは不確定である。 また、現在研究に使用していたMOEのライセンス費用が不足しているため、こちらへの利用も考えている。
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Research Products
(3 results)