2019 Fiscal Year Research-status Report
次世代医療に貢献する新規ゲル素材:カーボンナノコンポジットゲルの創製
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18K06618
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
庵原 大輔 崇城大学, 薬学部, 准教授 (40454954)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | フラーレン / ナノコンポジットゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒドロゲルは水溶性高分子鎖同士が架橋により 3 次元の網目構造を形成した分子集合体であり、その微小環境(ゲルネットワーク)が多糖やたんぱく質のナノファイバーで構成される細胞外マトリックスに類似することから、細胞治療や再生医療の観点から注目されている。本研究では、フラーレンやピラーアレーンなどのナノカーボン類を水溶性ナノ粒子化し、得られたナノ粒子に高分子鎖を架橋したカーボンナノコンポジットゲルを調製し、それらの物性・架橋構造・機能性などを検討した。以下に得られた知見を要約する。 1、シクロデキストリンを用いて水溶性ナノ粒子化したフラーレンC60と両末端をアミノ化したPEG(MW. 30,000)をDMSO中で混合することでC60ナノ粒子を架橋点とした透明で水分保持能力の高いカーボンナノコンポジットゲルを調製した。C70ナノ粒子や抗酸化能を有する水酸化C60ナノ粒子でも同様にヒドロゲルを調製可能であった。 2、レオメーターならびにクリープメーター測定より、架橋点となるフラーレンナノ粒子の量を制御することでヒドロゲルの粘弾性・安定性・強度などの物理学的性質を制御可能であった。 3、UV、NMR等の各種スペクトル測定より、化学結合によりフラーレンナノ粒子とPEG鎖がゲルネットワークを形成していることが示された。また、C60ナノコンポジットゲルは色素や尿毒症物質に対する吸着能を有することが明らかとなった。
本研究で調製したカーボンナノコンポジットゲルは従来のゲルにはない柔軟性・膨潤能・強度・刺激応答性を有する新規ヒドロゲルとして次世代医療の発展に大きく貢献するものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、従来のゲルにはない柔軟性・膨潤能・強度・刺激応答性を有するカーボンナノコンポジットゲルを調製し、医薬への応用を企図する。これまでに、各種カーボンナノ粒子を架橋点として、ナノコンポジットゲルを調製し、その物性、機能性を明らかにした。次世代医療に貢献するフラーレンナノコンポジットゲルの構築は順調に進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
様々な種類の高分子(ポリ乳酸、N-イソプロピルアクリルアミドなど)を用いてゲルネットワークを構成することで刺激応答性を有するカーボンナノコンポジットゲルを調製し、各種物性を評価する。また、ゲル中への薬物封入や安定性、放出挙動、抗酸化作用などを評価し、薬物担体としての機能性も検討する。
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