2021 Fiscal Year Research-status Report
Kinetic Activity Evaluation of Antioxidants in Aqueous Solutions Using a Water-Solubilized Organic Radical
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18K06620
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| Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
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Principal Investigator |
中西 郁夫 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, グループリーダー (70356137)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 抗酸化物質 / ラジカル / 反応速度 / 反応機構 / 活性酸素種 / 水素移動 / 電子移動 / 物理化学 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
生活習慣病や老化、放射線障害は、活性酸素ラジカルによる酸化ストレスが原因といわれている。活性酸素ラジカルに対して非常に優れた消去活性を示す抗酸化物質は、酸化ストレスを軽減する医薬品への応用が期待されている。しかし、抗酸化物質の試験管内におけるラジカル消去活性と細胞実験や動物実験で得られる活性は必ずしも相関しない。これは水溶液中、特に高濃度の緩衝溶液中におけるラジカル消去活性および反応機構に不明な点が多く残されているからである。そこで本研究では、有機溶媒中で抗酸化物質の活性評価に頻用されている2,2-ジフェニル-1-ピクリルヒドラジル(DPPH)ラジカルをβ-シクロデキストリンで水溶化し、高濃度の緩衝溶液中における抗酸化物質のラジカル消去活性を速度論的に評価した。
令和3年度には、水溶化DPPHラジカルの代わりに2-フェニル-4,4,5,5-テトラメチルイミダゾリン-1-オキシル 3-オキシド(PTIO)ラジカルを用いて水溶性抗酸化物質との反応を行い、水溶化DPPHラジカルで得られた結果と比較した。その結果、アスコルビン酸による水溶化DPPHラジカル消去の二次反応速度定数(kH)はpH上昇に伴って増加するのに対し、PTIOラジカル消去のkHはpHを変えても変化しなかった。このことから、水溶化DPPHラジカルを用いた場合のkH値のpH依存性は、抗酸化物質の反応性によるものではなく、DPPHラジカル自身の反応性によるものであることが明らかとなった。また、水溶化DPPHラジカルの酸化還元挙動に対するpHの影響をサイクロックボルタンメトリーを用いて検討し、還元電位がpHの上昇に伴って低くなったことから、水溶液中におけるDPPHラジカルの還元反応にはプロトン移動過程が含まれていることが分かった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
水溶化DPPHラジカルの代わりに2-フェニル-4,4,5,5-テトラメチルイミダゾリン-1-オキシル 3-オキシド(PTIO)ラジカルを用いて水溶性抗酸化物質との反応を行い、水溶化DPPHラジカルで得られた結果と比較することにより、これまで不明な点が多く残されていた水溶液中におけるDPPHラジカルの反応性を明らかにすることができたため。
また、緩衝液の調製法を工夫してpHが制御された試料溶液を調製し、水溶化DPPHラジカルの酸化還元挙動に対するpHの影響を電気化学的手法により世界で初めて明らかにすることができたため。
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| Strategy for Future Research Activity |
令和4年度には、学会が対面式で開催されはじめるため、そこでの成果発表を積極的に行う予定である。
また、まだ論文としてまとめていないデータを積極的に論文化して投稿する。その際、不足している実験データの取得も行う予定である。
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| Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大が収束せず、昨年度（令和2年度）から今年度（令和3年度）に延期となった国際学会も現地開催からオンライン開催となり、旅費の支出が大幅に少なくなった。
オンライン学会の参加登録費や論文掲載費などに使用したが、次年度使用額が生じたので、消耗品費や国内出張旅費に充てる予定である。
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