2020 Fiscal Year Annual Research Report
Fundamental study of NER mechanism aiming to develop a novel HIV therapy in next generation
Project/Area Number |
18K06628
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高宗 暢暁 熊本大学, 熊本創生推進機構, 准教授 (60322749)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | HIV |
Outline of Annual Research Achievements |
Nefはエイズの原因ウイルスHIVの病原性タンパク質である。代表者らはNef mRNAの5’非翻訳領域にNefの効率的な発現に必要となるNef-expression essential region (NER)の存在を明らかにした。本研究では、 NERを介したNef発現に関わる分子群を同定し詳細なNef発現メカニズム(NER機構)を解明することを目的とした。NER欠損nef mRNAからのNef発現は著しく低下し、この低下はHIV-1複製における有意なNefの機能低下を伴うものであった。NERがnef mRNAの核外輸送機構と関連していることが明らかになった。また、細胞質と核内に局在し、RNA輸送やRNAスプライシング等に関わるSRタンパク質をリン酸化するkinase Xを阻害する化合物Yを処理すると、野生型nef mRNAからのNef発現を亢進するが、NER変異導入nef mRNAにおいては、Nefの発現亢進の感受性が有意に低いものであった。このkinase Xの基質となるSRタンパク質はRNAに結合することが知られており、RNAには複数のコンセンサス配列も知られている。この情報をもとにNER機構に重要な少なくとも4塩基からなる配列Zを2箇所同定した。これら配列Zの欠損変異や塩基置換変異を導入すると、NER全体を欠損させた場合と同等にNef発現レベルが低下した。同時に、配列Z変異nef mRNAにおいても、化合物Y処理によるNef発現の亢進が減弱した。さらに、この配列Zを含むDecoy RNAを処理すると化合物Y処理によるNef発現亢進が減弱した。 以上の結果をまとめると、nef mRNAの核外輸送と関連するNER機構には、Kinase X、SRタンパク質、NER上の配列Zが関与し、Nefの効率的な発現に関わることが明らかになった。
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