2018 Fiscal Year Research-status Report
無機ポリリン酸の敗血症治療への応用に向けた基盤構築
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18K06633
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
沼澤 聡 昭和大学, 薬学部, 教授 (80180686)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 敗血症 / 無機ポリリン酸 / 抗炎症作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症は極めて予後不良の疾患であるが決定的な治療法がなく、治療薬開発に新規アプローチが求められている。敗血症の病態改善のためには、全身性炎症反応症候群だけでなく免疫抑制からなる代償性抗炎症性反応症候群も同時に制御する必要がある。本研究に先立ち、これまで炎症反応を惹起・増幅するとされてきたポリリン酸が、マウスエンドトキシンショックモデルで顕著な救命効果を示すことを掴んだ。この一見矛盾する作用の機序解明が、敗血症病態で生じる正負の反応を制御するための重要な情報提供に繋がるものと考えた。そこで、本研究はポリリン酸の敗血症モデル救命効果の分子機構を明らかにすることにより敗血症の新規治療法開発に繋がる基盤を整備することを目的とする。 本研究ではより臨床を反映するマウス盲腸結紮穿刺腹膜炎モデルを用いて、ポリリン酸の救命効果を検討した。その結果、エンドトキシンショックモデルの場合と同様、腹膜炎モデルにおいても平均重合度150のポリリン酸(0.1 mmol/kg)は顕著な延命効果を示した。また、その効果はポリリン酸の投与回数依存的に出現した。従って、ポリリン酸は異なる敗血症モデルで有効であることが明らかになった。 現在、腹膜炎モデルにおける臓器障害やサイトカイン誘導などに対するポリリン酸の効果の検討や、in vitroモデルを用いたポリリン酸の作用点解析を実施しており、新たな敗血症治療薬開発のための基盤構築に向けてさらに研究を加速させる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初研究に参画予定だった大学院生が家庭事情で長期休暇をとるなど、研究実施体制に変更が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、1年目でin vivo研究全般を終了する予定であったが、現段階で検討中の項目もある。今後はin vitro研究を並行して実施し、研究全般の進行を加速させる。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画に従った使用を行ったが、一部少額の未使用金が生じた。翌年度分と併せて研究に活用する。
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Research Products
(7 results)